マリウポリ 7日間の記録 (2023):映画短評
マリウポリ 7日間の記録 (2023)戦渦に生きるとはどういうことかをリアルに追体験させる
‘22年3月、ロシアによる侵攻から間もない激戦地マリウポリの様子を、リトアニア人の映像作家が取材したドキュメンタリー映画。戦闘によって荒廃した市街地、常にどこかからか響き渡る砲弾や爆撃の音。そんな中、崩壊を免れた教会の地下に暮らす市民たちの日常をカメラは淡々と捉える。ナレーションや説明テロップなど一切なし。作り手の政治的・感情的な主観を徹底排除し、戦渦に生きるとはどういうことかをリアルに追体験させる。ドラマチックな出来事は何も起きないが、だからこそ作り物ではない戦時下の不安や恐怖や絶望や諦めがジワジワと見る者に迫る。監督が志半ばで親ロシア派勢力に殺害されたという事実も重い。
この短評にはネタバレを含んでいます