ペルリンプスと秘密の森 (2022):映画短評
ペルリンプスと秘密の森 (2022)ライター2人の平均評価: 3.5
想像を刺激するファンタジーSF。
狼に似た太陽の王国&熊に似た月の王国の子供二人のエージェントが地球にやってきて森の救世主を探し求める物語。彼らから見た人間の世界は常に戦争にまみれていてそのあたり現在に繋がるいつにも変わらぬ戦いの様相を描いているが、そこも含めエコロジーに関する言及は月並みかも。背景はルネ・ラルー『ファンタスティック・プラネット』等を思わせる異世界的造形、その中で躍動するキャラはカートゥーン的でなかなか異質。ペルリンプスが一体何であるのかというのは最後まで語られないが、そこは見るものによって考えるしかない。ミルトン・ナシメント、カエターノ・ヴェローゾ等のブラジル音楽が流れなければどこの作品か判らないくらいだ。
色と光によって語られる物語
どこか動物に似ているような不思議な形をした明るい色の生きもの2体が、森で出会う。彼らは対立する組織に所属する秘密エージェントで、どちらもペルリンプスと呼ばれる謎の存在を探している。
そんなSFのようなおとぎ話のような物語が、形ではなく、色と光によって描かれていく。それぞれの存在は概念のようなものでもあり、輪郭線を持たない。やがて色彩だけの存在になっていき、その色も見ているうちに変化していく。そして、光に向かって、明るく広がっていく。まさにアニメーションならではの、色と光によって語られる物語。最後にオチのような説明があるが、それがなくても、色彩から直に伝わってくるものがある。