マリア 怒りの娘 (2022):映画短評
マリア 怒りの娘 (2022)ニカラグアのマジックリアリズム世界に迷い込む
ニカラグアのゴミ集積場の近く、母と2人で暮らしていた11歳のマリア。働きに出かけた母はなかなか戻らず、彼女は一人で生きることになる。暑く渇いた土地、埃っぽい大気に満ちた貧困地域をドキュメンタリー的に描く作品かと思って見ていると、ふと、マジックリアリズム的世界に迷い込んでしまっていたことに気づかされる。そこで振り返ると、マリアと母の会話や、マリアが夜に見る夢の中に、この世界へと続く道しるべがあったことに思い至る。この現実と魔術的世界が継ぎ目なくつながる作劇術に魅了される。
社会状況も描くがそれだけではなく、母と娘の物語でもあり、子供が大人になるということを受け入れる物語でもある。
この短評にはネタバレを含んでいます