ロボット・ドリームズ (2023):映画短評
ロボット・ドリームズ (2023)ライター2人の平均評価: 4.5
エンディングがかなり大人向き
擬人化されたさまざまな動物たちが暮らす大都会ニューヨーク。そこで暮らす孤独な犬の青年と、彼が組み立てたロボット。彼らの出会い、一緒に過ごす日々の喜び、アクシデントによる予期せぬ別離、そして、その後。2人が抱く思いが常に、セリフがまったくない形式によって、より直接的に伝わってくる。
原作コミックと同じ絵柄は子供向け絵本のように見えるが、ストーリーはかなり大人向き。とくにエンディングはこちらの予想に反しつつ、少々苦くもある複雑な味わいと共に心を明るくしてくれて、静かな余韻を残す。劇中で効果的に使われる、1978年のアース・ウィンド&ファイアーのヒット曲「セプテンバー」も切なく胸に響く。
シンプルな映像で大切なテーマを伝え、泣かせるアニメの真髄
孤独な生活が日常となった者が思いきって“相手”を手に入れる。そんな犬とロボットの友情ドラマは、ほんわか→切なさを経由し、あまりに美しい結末へ着地。アース・ウィンド・アンド・ファイアーの「セプテンバー」が流れた瞬間、号泣必至だ。
誰かを思いやる。その相手の幸せを喜ぶ。そんな純粋なメッセージが、観た後しばらく心に温かく定着する。
80年代NYが舞台で、貿易センタービルのツインタワーが象徴する、失われたものへのノスタルジーも切ないし、何より、セリフなし、シンプルな作画でキャラクターの深い感情を伝えきるアニメの根源を再認識。
アカデミー賞ノミネートの中で、個人的に最も大切な作品となる人も多いのでは?