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辰巳 (2023):映画短評

辰巳 (2023)

2024年4月20日公開 108分

辰巳
(C) 小路紘史
斉藤 博昭

男たちの燃焼力、女性キャラの強靭さ。8年待った甲斐のある新作

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

今や絶好調の毎熊克哉の原点を作った『ケンとカズ』から8年ぶりの小路紘史監督の新作だけあって、今回も男たちの濃厚な執念の香りが全編に蒸せ返る。深読みさせる絆も含め、一時期の北野武映画を彷彿とさせるが、前作からのアップデートは女性キャラクターの強靭インパクト。ここはスクリーンで素直に平伏すべき。
メインキャストの壮絶なまでの“眼力”。バイオレンスの的確な容赦のなさ。その先の運命に想像力がはたらくクライマックス。そして何より、人間が命を燃焼し尽くすパワーの官能に終始呑み込まれる。セリフが聞きづらい部分もあるが、その曖昧さが逆に心情を生々しく伝えているとしたら、演出の勝利。日本映画の未来も感じる力作。

この短評にはネタバレを含んでいます
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