成功したオタク (2021):映画短評
成功したオタク (2021)ライター2人の平均評価: 3
罪を犯した「推し」、その事実にファンはどう向き合うべきか?
成功したオタクとは「推し」の芸能人からも認知されるファンのこと。本作のオ・セヨン監督もそうだったという。彼女の推しは’19年に韓国で問題となった性加害事件に関与した男性芸能人のひとりチョン・ジュニョン。罪を犯した推しに対する、怒りと悲しみと後悔の入り交じった複雑な感情。他のファンはどう折り合いをつけているのか?これは、自分と同じく推しに裏切られた女性たちへ取材した監督が、ファンとしてその事実とどう向き合うべきなのか?を考察したドキュメンタリーだ。強く感じるのは韓国女性のフェミニズム的な人権意識の高さ。日本でも芸能界の性暴力が問題視されているが、向こうは一歩先を行っているなとの印象を受ける。
推しが逮捕されると、自分は被害者なのか?
全世界推し活ブームの真っ只中、なかなか鋭い視点で切り込んでくるドキュメンタリー。推しに認知されるところまでいった「成功したオタク」が、推しの逮捕によって「失敗したオタク」に転落。果たして、自分は被害者なのか?というところから、オタ友に会いに行く旅(取材)に出るのだが、それがオ・セヨン監督本人というバイタリティ溢れすぎ! チョン・ジュニョンや「バーニング・サン事件」のことを知らなくても大丈夫だが、オタク気質を持っているかどうかで楽しみ方が変わるのは事実。ガチ恋勢でも「新たな推しで補うしか!」など、すべては時間が解決する点においては、やはり失恋と同じだったりする。