チネチッタで会いましょう (2023):映画短評
チネチッタで会いましょう (2023)老境に達した名匠モレッティによるフェリーニ的映画賛歌
理想主義者ゆえ時代の変化を頑なに受け入れず、それゆえ半ば老害と化してしまった気難しいベテラン映画監督が、次々とトラブルに見舞われる中で周囲と折り合いを付ける術を学び、やがて映画の持つエネルギーとパワーを再発見していく。イタリアの名匠ナンニ・モレッティの最新作は、自身を投影した主人公を通して昨今の映画界や社会の風潮に疑問を呈しつつ、サーカスの如き賑やかさ(実際にサーカス団も登場)でユーモアとアイロニーとファンタジーを詰め込んだフェデリコ・フェリーニ的な映画賛歌。個人的には主人公の窮地を救うのが韓国マネーという設定に時代の変化を感じさせられた。多分、昔なら日本マネーだったはずだよね。
この短評にはネタバレを含んでいます