ミッキー17 (2025):映画短評
ミッキー17 (2025)
ライター2人の平均評価: 3
視覚的な面白さを追求し、意外にポン・ジュノ原点回帰を実感
映像とネタの面白さを求める人には、うってつけの一作。クリーチャーの造形は経験したことのない感覚に身悶えした。権力vs.下層の民という構図にポン・ジュノらしさを見出しつつ、権力側の名優にあのような演技をさせてることを考えれば、『スノーピアサー』のような深刻さは皆無に近い。もう一人の自分との関係に、共感&スリルの核心が。
複雑な設定とはいえ、前半ややセリフでの説明が多すぎるのが気になる。そして展開がけっこう行き当たりバッタリな印象で、それでも強いメッセージを予想しながら観ると後半はビジュアルの怒涛感が優先に。でもそこはポン・ジュノ初長編の快作『ほえる犬は噛まない』と重なり、無邪気に楽しめたりも!?
間違いなくポン・ジュノ作品
『パラサイト-半地下の家族-』から実に6年ぶりの新作となったポン・ジュノ。英語圏映画としては三作目ですね。ブロックバスターSF大作に見えますが、映画はポン・ジュノらしいブラックなヒューマンドラマになっていました。英語圏作品の『スノーピアサー』と『オクジャ/okja』と並べて見るとさらにこの映画の立ち位置を感じることができます。タイトルロールを演じたロバート・パティンソンはすこしだけ違う同一人物を巧く演じ分けました。指導者カップルを演じたマーク・ラファロとトニ・コレットがまた良かったです。色々身構えず気軽に見るのが良いと思います。