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Our Friend/アワー・フレンド (2019):映画短評

Our Friend/アワー・フレンド (2019)

2021年10月15日公開 126分

Our Friend/アワー・フレンド
(C) BBP Friend, LLC - 2020

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.2

なかざわひでゆき

互いの不完全を受け入れ、相手を思いやることの大切さ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 妻が深刻な病に侵された平凡な夫婦と、彼らを献身的に支える共通の親友。その長きに渡る友情の軌跡を丹念に描いた実録ドラマだ。仕事にのめり込んで家庭を顧みなかった夫、子供のため気丈に振る舞いながらも内心では壊れかけた妻、低すぎる自己肯定感ゆえに仕事も恋愛も上手く行かない親友。そんな彼らが闘病生活の困難を通じて、互いの不完全を大らかに受け入れ、相手の孤独や悲しみにそっと優しく寄り添っていく。これを単なる綺麗ごとのお涙頂戴メロドラマと片づける向きもあるだろうが、しかしコロナ禍の殺伐とした現代社会において、人間同士の相互理解がいかに大切であるかを教えてくれる。そういう意味において非常に説得力がある。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

男たちの不器用さが泣かせる

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

がん宣告を受けたヒロインを、献身的に介護する夫と親友。とはいえ、2人はあまりにも不器用。そんな男たちの愛しさが、難病モノである本作の新たな切り口といえるだろう。また、ケイシー・アフレックよりも、ジェイソン・シーゲルの方がキャラ的にも美味しく、コメディだけじゃない芸達者っぷりを披露。愛する人を看取ることは、決して綺麗事ではないという現実や、思春期になった娘たちを巡る物語もしっかり描かれてはいる。ただ、時間軸をシャッフルさせた意味合いがあまり伝わらず、観客を迷子にさせる構成になってしまった感アリ。王道な展開なら、構成も王道で行ってくれた方が、より泣ける気がする。

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山縣みどり

死とどのように向き合うか考えさせられる

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

妻を癌で亡くしたジャーナリストの記事をもとにした実話で、胸を締め付けられる場面も多い。物語の軸となるのは夫妻と親友デインの関係性で、監督は時制を前後させながら3人の絆が揺るぎないものとなった過程を深掘りする。と同時に、死を前にした人々のさまざまな感情を探り、人生の喜びを描き出す。死は避けては通れないし、どのように向き合うのかを考えさせられた。役者陣は子役も含めて好演だが、輝いているのは親友役のJ・シーゲル。人生に悩みを抱えながらも親友一家のために献身する男性の複雑な心模様を見事に表現し、辛い場面でも彼が醸し出す切ないユーモアに救われる。コメディ演技が上手な役者はやはり信用できる! 

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平沢 薫

さまざまな時間が、もしこんなふうに並んでいたら

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

「時間」というものが、もしも、この映画を見ながら観客が体験するような形で存在するものだったら、いろんなことを別の視点からとらえることが出来るのではないか。本作は、主人公の妻が回復困難な病状だと告知される時点を「0」基点として、「その何ヶ月前」「その何ヶ月後」という形で、さまざまな出来事を、進行通りではない別の順序で並べていく。すると、観客の視点からは、さまざまな時間と出来事が「今ここ」から「同じ距離」にあるように見えてくる。苦痛を持たらす出来事も喜びとなる体験も、ずっと昔もちょっと前もずっと後も、同じように並ぶ。その視点から、何が見えるのか。映画はそれを、静かな筆致で描いていく。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

ただのお涙頂戴ではない、層が深くリアルな感動作

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

不治の病を扱う映画は、話が進む中でどんどん重く、暗く、辛くなっていきがち。実話にもとづく今作は、時間を行ったり来たりさせ、平和だった頃をはさみ込んでいくことで、それを上手に避けている(それでも最後はしっかり泣かせる)。今作の一番のテーマは、真の友情の美しさ。すべてを犠牲にしても駆けつけてくれる明るく優しい友人役に、ジェイソン・シーゲルはまさにはまり役。だが、そんな彼にも悩みや辛さはあり、そこもしっかり語ることで、より層が深まった。役者たちと、ドキュメンタリー出身のカウパースウェイト監督のおかげで、すべての瞬間において、やりすぎない、リアルな感情が伝わってくる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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