YOLO 百元の恋 (2024):映画短評
YOLO 百元の恋 (2024)ライター3人の平均評価: 3.3
超絶ダイエットの記録としても魅せられる
ナチュラルな人間ドラマとして完結した『百円の恋』が好き過ぎることもあり、超えるのは難しいだろうとは思っていたが、想像以上に健闘している中国版リメイク。
中国の国民的なコメディエンヌ、ジャー・リンが監督と主演を務めており、そのタレント性を生かした作品に変貌。お笑いの要素は多いが、本作の撮影をとおして50キロの体重減量に挑むという彼女のエンタテイナーとしてのマジ要素には仰天した。
TV出演のエピソードや『ロッキー』のパロディは、オリジナルを知る人間には演出過剰に映るだろう。それでも、たとえ結末がわかっていても、熱血の要素には素直に泣けてしまう。
中国に伝播したオリジナルの熱量
『百円の恋』のリメイクだが、大筋以外はほぼ別物。むしろ、賛否あったオリジナル版のラストより、己との戦いにフォーカスした本作の方を支持したい。ヒロインは恋も仕事も諦めモードなら、一人っ子政策時代には無かったであろう、姉妹間の派閥争いで家から追われる負け犬。競争厳しい中国で滅多に見られないヒロイン像が現地で共感を得られたと思うが、”生きづらさ”は各国共通であることを改めて考えさせられるに違いない。別物なのにあえてリメイクとしたのは、主演・監督のジャーの本気に火を付けた安藤サクラへのリスペクトだろう。安藤に負けず劣らずの熱量がスクリーンから伝わってくる力作だ。
エンドロールに胸打たれること必至
「検閲厳しい中国映画界が、なぜR15+指定だった『百円の恋』をリメイク?」と思わせるが、もちろんねっとりしたラブシーンのようなものは皆無。『こんにちは、私のお母さん』に続く、ジア・リン主演・監督作として、どストレートに負け犬ヒロインのど根性物語に徹している。随所にオリジナルをリスペクトしつつ、前半の独特なテンポによるコメディ展開は、中国映画を見慣れてないと呆気にとられるかもしれない。だが、ヒロイン覚醒からは万国共通のスポ根ドラマとして目が離せなくなる。そして、ドキュメンタリーとして成立しているジア・リンの1年間を追い続けたエンドロールに胸打たれること必至。