レッド・ワン (2024):映画短評
レッド・ワン (2024)ライター6人の平均評価: 3.3
ここまで直球のクリスマス映画は久しぶり
人ではない堅物のドウェイン・ジョンソンと、ハッカーで小悪党のクリス・エヴァンスがバディとなり、本物のサンタクロースを悪い魔女から助けるというクリスマスファンタジー。北極に巨大なサンタの基地があったり、おもちゃに光線を当てると本物になったりと、まるで幼稚園児の妄想のようなストーリーをマーベル映画並みの規模と技術力で実写化してしまう剛腕ぶりに惚れ惚れしてしまう(褒めています)。ここまで直球のクリスマス映画も久しぶりに見たような気がする。本筋とは関係ないが、サンタがプレゼントを与える子どもがアッパーミドルの家庭ばかりだったのが気になった。サンタならあらゆる家庭の子どもに夢を与えてほしい。
聖夜のジェットコースター!
2時間を超える長尺だが、それが気にならないジェットコースタームービー。『ジュマンジ』シリーズ近2作を手がけたJ・カスダン監督がまたもD・ジョンソンと組み、良質のエンタメ作品を放った。
バディムービーとして単純に楽しいが、ディテールもゴージャス。北極にあるサンタクロース本拠地の省庁的システムや、プレゼントをもらえない“悪い子リスト”の存在が物語を面白くする。
ドウェインはいつもながらに、力技とユーモアで魅力を発揮。確固たるクリスマス哲学を持ち、聖夜のために筋トレに励むサンタにふんしたJ・K・シモンズの妙演にも注目したい。
多種多様なクリーチャーが大乱闘!
『エルフ~サンタの国からやってきた~』にも通じる意外性を感じさせるドウェイン・ジョンソンのエルフが活躍するクリスマス映画。おもちゃが変形する秘密兵器やら、シロクマや雪だるまなどのクリーチャーが入り乱れる展開やら、とにかく子どもを飽きさせない作りをしているが、脚本の粗さが目立つ。そのため、売りであるロック様とクリス・エヴァンスによるバディものとしての醍醐味はイマイチ。敵キャラであるクランプスも魅力的に描かれていないのも悔やまれる。なのに、尺が120分超えということで、ジェイク・カスダン監督作としても『ジュマンジ』シリーズに及ばずといったところ。
オンリーワンのサンタが業務を一手に引き受ける設定が新鮮
たった一人のサンタクロースが、1日で世界中の家庭を回る。そんなありえない設定を、驚異のタネ明かしで納得させてくれる本作。
氷の地でのカーチェイス、モンスター的キャラとのバトルなど豪快なアクションの数々も、この主演2人なら余裕。スーパーパワー駆使も鮮やかなドウェインに対し、クリエヴァは子供時代のトラウマ&私生活問題アリの“やさぐれ”感が意外なほど味わい深い。
ただ日常とのリンク、敵側の深みのなさなど脚本が全体に雑(このあたりに近年のハリウッドメジャーのレベルダウンを感じる)なので、物語は二の次で、細部までオモチャ箱のようなサンタの国の情景など、ビジュアル的に楽しむつもりで観に行く方が良さそう。
サンタクロースがもし現代に存在したら
筋肉質体型のJ・K・シモンズがサンタクロース役とは意外だが、本編を見れば納得。「もしサンタクロースが現代にいたら」を描くので、サンタはイヴのために筋トレするし、セレブなのでボディガードがいるし、護衛にはハイテクが使われる。誘拐犯を追う高速チェイスをはじめ、徹底して現代的な娯楽アクションに仕上げつつ、2本足歩行の白クマの護衛がいたり、オモチャが実物に変貌したりと、おとぎ話的な要素も抜かりない。
さらに古い民話のサンタの相棒、角のある怪異な容貌のクランプスを「ゲーム・オブ・スローンズ」の野人トアマンドことクリストファー・ヒヴュが怪演。クランプスと異形の仲間たちの狂乱の宴をもっと見たくなる。
楽しい楽しいクリスマス映画
”ジュマンジ”と”ワイスピ”のクリエイター陣にドウェイン・ジョンソン、クリス・エヴァンスを筆頭に並んだ出演者陣、楽しくないはずはありませんね。J・K・シモンズ演じるサンタがまたチャーミングでしたし、期待通りの娯楽作品となっていました。この時期になるとクリスマス映画が公開されるようになりますが、今年はこれでしょう。世界中を股にかけハイテクとファンタジーを行ったり来たりする展開は、贅沢な作りでした。クリスマス映画らしくちょっとピュアな展開もあってほろりとさせたりもします。120分を超えていますが飽きさせません。