ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース (2024):映画短評
ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース (2024)
ライター3人の平均評価: 3.7
この人を語る上で最高の選択。真実味は妥協なし
アンソニー・ボーデイン、スティーブ・マーティンなど幅広いセレブリティについてのドキュメンタリーを監督してきたモーガン・ネヴィルのキャリアの中でも突出した作品。レゴのアニメーションというフォーマットは、一見意外ながら決してギミックではなく、クリエイティビティにあふれるファレル・ウィリアムスの音楽や彼の思いを見せていく上で、まさにぴったり。色もカラフルでビジュアル的に楽しいが、ドキュメンタリーとしてのシリアスさ、真実味は貫かれている。むしろ、自分もレゴのキャラクターになるとわかっているからよりフランクに話せたのかも。“他人と違っていても良いんだ”という素敵なメッセージも伝える。
レゴだから表現できたカリスマの脳内
ポップミュージックのカリスマ、ファレル・ウィリアムスの半生をレゴブロックのアニメーションで描く。これは、ありきたりなドキュメンタリーにしたくないという彼自身の希望。開かれた表現を目指したとファレルはいう。
たとえば“音楽を聴くと色が見える”という彼の言葉の意味は、レゴの原色ワールドでは明快だ。絵的にポップだから音楽にもフィットするし、何より親しみやすい。時としてマニアックに受け止められるブラックミュージックのハードルも下がるというものだ。
G・ステファニーやスヌープ・ドッグらファレルとのコラボ体験を語るアーティストもレゴになって、この世界に溶け込む。ポップなアイデアの勝利。
ヒップホップ=レゴブロック思考のパーティー
『ベター・マン』の“猿”にも驚いたが、こちらも見事。音楽伝記映画の傑作にしてレゴムービーの快作だ。ファレルの自分語りを軸に濃密な情報量が詰め込まれ、『8 Mile』型というよりアプローチはドキュメンタリー(監督は『バックコーラスの歌姫たち』等のM・ネヴィル)。豪華関係者(NIGO含む)の証言を交えて、あらゆる枠組みを越境・接続し、“ハイブリッド思考”を独自展開してきた傑物の半生が語られる。
何より素晴らしいのは“組み合わせによる創造”というメッセージがレゴの理念と合致していること。設計された世界の中で自由と肯定性を獲得する実践から珠玉のアンセム群が爆誕していく。ちらっとだけミニオンも登場。