マッド・ダディ (2017):映画短評
マッド・ダディ (2017)ライター2人の平均評価: 3
ニコラス・ケイジ、発狂!
ダスティ・スプリングフィールドの『帰り来ぬ青春』をBGMに、分割画面を使ったポップアート風なオープニング。ある日突然、世の親たちが狂って我が子を殺しまくるという、『ザ・チャイルド』の逆転現象的ストーリー。’70年代カルト映画臭がプンプンする。しかも、監督は『アドレナリン』シリーズのコンビの片割れ。そりゃ狂ってるよね(笑)。
『ザ・チャイルド』は身勝手な大人社会に対する子供たちの反逆だったが、こちらは「自分の人生こんなはずじゃなかった!」「青春時代に戻りたい!」という親のありきたりな不満が狂気へと変貌する。その辺のブラックな風刺は消化不良だが、ニコラス・ケイジのイカレっぷりは十分楽しめる。
近年のニコケイ映画では、ダントツのハジケっぷり!
『アドレナリン』など、バカ映画ばかり撮っているのに、イマイチ人気のないブライアン・テイラー監督の新作は、トラウマ・ホラー『ザ・チャイルド』の逆バージョンといえるブラックコメディ。愛するがゆえ、我が子を殺したい夫婦にニコラス・ケイジとセルマ・ブレアというだけで最強すぎるが、「ホーキーポーキー」を歌いながら、ビリヤード台を破壊するミスフィッツTシャツ姿のケイジは、ホントどうかしてる! 相方のネヴェルダイン監督が不在なうえ、予算がないもバレバレだが、1970年代のホームドラマ風のオープニングや、ロクセットの「愛のぬくもり」が流れる分娩室のシーンなど、テイラー監督の悪趣味センスも随所に炸裂!