劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 (2020):映画短評
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 (2020)ライター3人の平均評価: 4
ファンには流れに乗る興奮と感動。初見の人は想像力を楽しむ特権
基本的に原作、テレビアニメ版の流れで観る人が多い「想定」で作られているが、初見の人も「わずかな疑問」を抱くのみで、勢いにのまれるように作品世界に入り込みやすいのでは? むしろ初見の方が、いろいろイマジネーションをはたらかせながら観るという、映画本来の楽しさを感じられるかも。特に感動部分はわかりやすい。逆に世界を伝えるために、登場人物のセリフが説明っぽくなっている部分が気になったほど。
アクションに関してはテレビアニメ版からの漫画のコマ割りを意識する方向性が受け継がれたが、劇場の大きなスクリーン用で、2時間弱だと、メリハリが欲しかったような。「全体の動き」や「タメ感」を、もっと観たかった。
神回に匹敵するクオリティで畳み掛ける!
原作では中盤戦の導入となるエピソードだが、TVシリーズの神回「第19話」にも匹敵するクオリティで畳み掛ける。タイトルからは“鬼版『新感染 ファイナル・エクスプレス』(または『ザ・トレイン』)”のような展開を想像させるが、密室劇としての面白さというより、『インセプション』的夢幻世界からの覚醒ドラマと、“列車版『ザ・グリード』”な展開に熱くなる。そして、「どうしちまったんだよ、琥珀さん!」ならぬ「どうしちまったんだよ、煉󠄁獄さん!」な登場シーンから目が離せない煉󠄁獄さん。近接戦メインの猗窩座とのバトルを経て、LiSAが歌う「炎」の詞が染みるエンドロールまで、まさに乗ったもん勝ち!
全てのタイミングが最高に合致した映画
結果として今年、唯一のイベントムービーとなりました。
暗い話も多かった日本の映画の中で、やっと問答無用に熱狂の渦を巻き起こせる作品が公開されました。
原作、アニメ他様々なメディア展開を受けての今しかないという絶好のタイミングと、劇場の大画面・大音響に見合い、時間的な枠から考えても映画にするにはこれしかない!という『無限列車編』がちゃんと回ってくる原作の流れ。
全ての要素が最高のタイミングで合わさっての公開となりました。
早朝からのマシンガンのような連続上映でも、混雑し続ける勢いは本物です。