映画のプロが第91回アカデミー賞をズバリ予想!
第91回アカデミー賞候補には、アルフォンソ・キュアロン監督作『ROMA/ローマ』とヨルゴス・ランティモス監督作『女王陛下のお気に入り』が最多10ノミネート! レディー・ガガ初主演の『アリー/スター誕生』とクリスチャン・ベイル主演の『バイス』が8部門、アメコミ映画として初の作品賞候補『ブラックパンサー』が7部門の候補に。ほか『ブラック・クランズマン』 『ボヘミアン・ラプソディ』 『グリーンブック』などと今年も予想が難しい賞レース! また日本からは、外国語映画賞に『万引き家族』、長編アニメ映画賞に『未来のミライ』も受賞なるか!? アカデミー賞の前哨戦となるゴールデン・グローブ賞をはじめ、数々の映画賞での結果がどのように響くのか? 映画評論家、映画ジャーナリスト、映画ライターなどがさまざまな角度、根拠から主要6部門を予想!
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『ROMA/ローマ』 今祥枝
Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中
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- 本命
- 『ROMA/ローマ』
- 対抗
- 『グリーンブック』
- 大穴
- 『ブラック・クランズマン』
総評非英語作品でNetflixのオリジナル作品『ROMA/ローマ』が作品賞を受賞する可能性はあるのか? 個人的には『ROMA/ローマ』推し。でも、これはガチの受賞予想だから現実的には全米プロデューサー組合(PGA)賞を制した『グリーンブック』を本命にするべきなのかもしれない。が、視聴率対策という下心があるにせよ、今年のノミネート作品を改めて眺めながらいろんな壁を軽く越えちゃうかもしれない奇跡に一票。いずれにせよ『ROMA/ローマ』が2018年を代表する映画であることは間違いなし。主演男優賞はクリスチャン・ベイル、主演女優賞はオリヴィア・コールマンの線も考えられるけど、ここはラミ・マレック&グレン・クローズでぜひに。助演部門は波乱があるかも? 6回目のノミネーションとなる大好きなエイミー・アダムスには「今年は鉄板」といわれる流れでの受賞を希望。外国語映画賞は『COLD WAR あの歌、2つの心』だといいな。全体としては『ブラック・クランズマン』&スパイク・リーのノミネーションに一番テンションが上がった。
プロフィール「日経エンタテインメント!」「小説すばる」「yom yom」などで映画・海外ドラマの記事を連載・執筆。当サイトでは「幻に終わった傑作映画たち」 「間違いなしの神配信映画」 「厳選!ハマる海外ドラマ」を担当。小ぢんまりした人間ドラマ&ミステリーが大好物。
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『ROMA/ローマ』 小林真里
Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中
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- 本命
- 『ROMA/ローマ』
- 対抗
- 『グリーンブック』
- 大穴
- 『女王陛下のお気に入り』
総評今年の作品賞のノミネートは8本。突出した大本命が不在だが、アクの強い『女王陛下のお気に入り』が個人的にはフェイバリット。配信大手Netflix製作の『ROMA/ローマ』が作品賞を受賞すれば、オスカーの歴史が大きく変わることになる。どんな結果が生まれるのか、注目したい。ノミネートの一番のサプライズは、外国語映画賞と撮影賞で3本がかぶっていたことだ。『ROMA/ローマ』は予想通りだが、ポーランドの壮絶かつ究極のラブストーリー『COLD WAR あの歌、2つの心』と、ドイツのこれまた壮大かつドラマチックな感動作『ネバー・ルック・アウェイ(英題) / Never Look Away』という2本の傑作がこの重要な2部門に選ばれたのはうれしい限り。今後もハリウッド集中から、新しい才能とクオリティーの高い作品が次々と作られている外国語映画により目が向けられ、国籍に関係なく質の高い作品やクリエーター、俳優が注目される傾向が加速することを期待したい。
プロフィール映画評論家/翻訳家。近年はもっぱらニューヨークを拠点に活動。最近はヨーロッパ、特に昨年2度仕事で滞在したパリがお気に入り。2018年のイチオシ映画はノルウェイの青春SFミステリー『Thelma』。
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『グリーンブック』 斉藤博昭 ★惜しくも5部門的中!★
映画『グリーンブック』は3月1日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
(C) 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.-
- 本命
- 『グリーンブック』
- 対抗
- 『ROMA/ローマ』
- 大穴
- 『バイス』
総評シンプルにアカデミー賞作品賞らしい「風格」を考えると、『ROMA/ローマ』がふさわしい気がする。でもそうはいかないのがオスカーレースの醍醐味。Netflixの激しすぎるキャンペーンが逆にオスカー会員の保守本能を目覚めさせていくのでは……と、余計な心配はともかく、愛すべき映画『グリーンブック』もここ数年の傾向を見ると、優しすぎる肌ざわりがブレーキになり、過激で面白い『バイス』『ブラック・クランズマン』あたりの大逆転もゼロではないかも。本音は大穴『ボヘミアン・ラプソディ』で、受賞の熱狂に巻き込まれたいなぁ、なんて思ったり。演技賞はここ数年、サプライズが減っているので、予想も安全運転。切なる希望は主演男優賞でラミ、ヴィゴ、クリスチャンの3人同点受賞ですけど! 助演ではロックウェルのブッシュ演技に唖然。昨年の受賞がハンデですね。監督賞は予想どおりなら、ここ6年で5回のメキシコ率。トランプの「壁」をどんどん越えさせる、ある意味でハリウッドらしい結果では?
プロフィールさまざまな媒体にレビューやインタビュー記事を執筆する映画ライター。Yahoo!ニュース 個人も日々更新中。大好物はイギリス映画。アクション、ミュージカルが得意ジャンルです。アカデミー賞予想と仲間で見る授賞式は一年で最大の楽しみ。
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『グリーンブック』 相馬学
映画『グリーンブック』は3月1日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
(C) 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.-
- 本命
- 『グリーンブック』
- 対抗
- 『ROMA/ローマ』
- 大穴
- 『バイス』
総評今年のオスカー予想で悩ましいのが『ROMA/ローマ』の存在。全米監督組合(DGA)賞で栄冠を射止めて本番でも最有力候補に躍り出たが、ネット配信用に作られた、それも外国語の作品に、保守的な傾向にあるアカデミー会員は票を投じるだろうか?……と考えた揚げ句、5年前の再現もありそうで、同作はキュアロンの監督賞止まりと予想。『グリーンブック』が無難な線とみた。監督賞にノミネートされず作品賞を受賞するのは稀だが、こちらは6年前の『アルゴ』(2012)の再現を想定。俳優部門は主演男優賞と助演女優賞が少々難解。ラミ・マレックVS.クリスチャン・ベイルの“実在の人物”対決は後者がリードか。助演女優賞にエミリー・ブラントがノミネートされていないのを筆頭に、『クワイエット・プレイス』が音響編集賞以外で完全にスルーされていることに不満あり。それはともかく、今年はここ数年で、もっとも難しく、それ故に最もドラマチックなオスカーとなる予感がする。
プロフィールアクション&ホラーを愛するフリーライター。「SCREEN」、「DVD&ブルーレイでーた」、劇場用パンフレットなどの紙媒体や、シネマトゥデイなどのネット媒体でお仕事中。スターチャンネル「Go!シネマ」では新作紹介を担当。
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『ROMA/ローマ』 高山亜紀
Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中
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- 本命
- 『ROMA/ローマ』
- 対抗
- 『グリーンブック』
- 大穴
- 『ブラック・クランズマン』
総評分断の空気が蔓延している世の中だからこそ『グリーンブック』や『ブラック・クランズマン』のような、隣り合った異質の者同士が心を一つにする物語が胸に響く。アメリカのバディムービーはギャップがあるから面白い。分かれてしまうなんてもったいない。白すぎるオスカーを痛烈批判していたスパイク・リーも今回のノミネートは素直に喜んでいるよう。もしも獲ったらどんなスピーチをするんだろう。どのタイミングでもいいから話をしてくれないか。反トランプといえば、メキシコ勢、アルフォンソ・キュアロンにも興味津々。今この時期、メキシコ愛を炸裂させた作品への思いとは。配信問題よりそっちが気になっていたりして。それにしても『ブラックパンサー』 『ボヘミアン・ラプソディ』の追い上げと『グリーンブック』の収束が予想外で、もしかして主演男優賞もラミ・マレックなのかと思いつつもそこはあんなに体重を増やしたんだからせめて私だけでもヴィゴに入れておきます。
プロフィール女性誌を中心に執筆。「ELLE CINMA JAPAN」「JBPRESS」でおすすめ映画を紹介。「ELLE MEN」ほか、若手俳優へのインタビュー多数。瀬戸康史アーティストブック「僕は、僕をまだ知らない」でインタビューを担当。
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『ROMA/ローマ』 中山治美
Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中
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- 本命
- 『ROMA/ローマ』
- 対抗
- 『女王陛下のお気に入り』
- 大穴
- 『ブラック・クランズマン』
総評これも時代の流れなのでしょうか。日本でも『カメ止め』が映画賞を席巻しているように、アカデミーでも大衆に支持された作品がノミネートに入ってくるようになった。それに関して視聴率低下が叫ばれた時にノミネート枠を増やして幅広い作品が入るようにした時からだが、世間の声に迎合し過ぎ。“白いオスカー”批判を意識し過ぎて、もはや外国語映画賞との垣根すらなくなってしまっているもの。時代を象徴しているというより、SNSをチェックして投票しているのでは? と冷めた目で見てしまう。とはいえノミネートは体裁を保っているフリをしているだけで、賞は順当なところに落ち着くんですけどね。
というわけで今年は『ROMA/ローマ』の外国語映画賞とのダブル受賞、かつ動画配信初受賞というストーリーを期待。ここで一度、気鋭監督たちが動画配信に移行している現実に対して業界全体で向き合う契機になれば。もちろん、日本も含む! です。プロフィール1969年生。映画ジャーナリスト。「GISELe」、「週刊女性」のほか、webサイト「おしごとはくぶつかん情報館」で、仕事の悩みに映画で答える「おしごとシアター」を連載中。ケン・ローチやアキ・カウリスマキなど抑圧された社会の中で逞しく生きる主人公を描いた作品が好き。
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『グリーンブック』 前田かおり
映画『グリーンブック』は3月1日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
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- 『グリーンブック』
- 対抗
- 『ROMA/ローマ』
- 大穴
- 『ブラック・クランズマン』
総評Netflixの強力マーケィング攻勢で作品賞は『ROMA/ローマ』が有力っぽいが、アンチ動画配信派もいるからな、ってところで、全米プロデューサー組合(PGA)賞やトロント国際映画祭観客賞を獲り、ゴールデン・グローブ賞でも勢いを見せた『グリーンブック』推し。けど、大穴で『ブラック・クランズマン』も。エンタメに人種差別と現政権ヘのメッセージやらぶちこんでるスパイク・リーには監督賞でも絡んで欲しい。主演男優賞はいつもに増して、そっくりさん大会。中でも、二度見、三度見しても、「誰だ? こいつ」ぐらいにキャラを作り込んだクリスチャン・ベイルで決まり。でも、心の中ではイタリア系の愛すべきオヤジを演じきったヴィゴ・モーテンセンのデブッた腹に一票! ほかは順当。ただ助演女優賞は不満。『女王陛下のお気に入り』の2人は作品通りに競い合い、漁夫の利でレジーナ・キング……ってなんだかな。授賞式にはアベンジャーズのメンバーが集結するという噂もあり、ガガ様も降臨する。いつもよりは派手になりそうだけど、大混乱の予感も。ワクワクドキドキ。
プロフィール映画&海外ドラマライターとして、「DVD&動画配信でーた」、「日経エンタテインメント!」、「SCREEN」ほかWEB、海外ドラマのムック本などで執筆。激渋オヤジ奮闘系が好き。『グリーンブック』のマハーシャラ・アリ主演のドラマ『TRUE DETECTIVE サード・シーズン』が早く見たい!
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『ROMA/ローマ』 森直人
Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中
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- 『ROMA/ローマ』
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- 『女王陛下のお気に入り』
- 大穴
- 『ブラック・クランズマン』
総評この原稿を執筆時、『ROMA/ローマ』の主要キャストのひとり、ホルヘ・アントニオ ・ゲレーロの米国入国のビザが下りず、授賞式への出席が危ぶまれている。今年もまた、あるいは昨年以上に米国大統領ドナルド・トランプ(『華氏119』 『デス・オブ・ア・ネーション(原題) / Death of a Nation』の主演としてラジー賞ノミネート!)がわかりやすいほどの“逆基準”。オスカー的主題は「反トランプ」の一言で集約できてしまいそう。ということもあって、作品賞と監督賞に関しては完全に『ROMA/ローマ』一択。対抗と大穴は、個人的に好きな候補作を一応挙げてみた感じ。ちまたで作品賞の対抗馬に挙げられているのは『グリーンブック』、次いで『アリー/スター誕生』だと思うが、筆者の印象ではどちらも「観客賞」っぽい予定調和性の高い映画。もしオスカー獲っちゃったら過大評価もいいところだよな〜ってのが本音です。いちばん迷ったのは主演男優賞で、普通に『バイス』のクリスチャン・ベイルが来るかもしれない。『ボヘミアン・ラプソディ』は監督のスキャンダルの件で逆風が吹いちゃってるけど、この場では(正解しなくてもいいから)ラミ・マレックを応援したい心情で選びました。
プロフィール「週刊文春」、「TV Bros.」などでクロスレビュー担当。「朝日新聞」、「キネマ旬報」、「映画秘宝」、「MEN'S NON-NO」などでも定期的に執筆中。主に若手・新人推しの姿勢ですが、最近はベテランの凄さに圧倒されることも多し。
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『女王陛下のお気に入り』 山縣みどり
『女王陛下のお気に入り』は公開中
(C) 2018 Twentieth Century Fox-
- 本命
- 『女王陛下のお気に入り』
- 対抗
- 『ROMA/ローマ』
- 大穴
- 『ブラック・クランズマン』
総評今年は『バイス』や『ブラック・クランズマン』 『グリーンブック』といった政治問題や人種問題に切り込みながら、ユーモアを交えた実話ベースの物語に秀作が多かった。もちろん同様のテーマに真面目に切り込んだ『ビール・ストリートの恋人たち』や『ボヘミアン・ラプソディ』も素晴らしく、まさに甲乙つけがたし! ただ個人的にはスパイク・リーの円熟味と彼にようやく追いついた時代とのマッチング感に注目していて、ハリウッドもそろそろ彼に栄誉を授けるのではと心の隅で期待してます。役者陣は受賞経験者も多く、ラミやオリヴィアにチャンスがありそう。もちろん『ROMA/ローマ』の女優2人も可能性大だが、スター性に欠ける感じ。ただ今年に入ってブライアン・シンガーのセクハラ問題に再び焦点が当たり始めたのが『ボヘミアン・ラプソディ』にとっての不安材料かも。そうそう、未見だけど、スチールを見る限りはウィレム・デフォーのゴッホ役は外見だけは自画像にそっくりなのも気になってます。
プロフィール「anan(アンアン)」や「GQ」、「25ans」、「ELLE」などで映画レビューやインタビューなどを執筆。ホスト不在のアカデミー賞授賞式の演出が気になる! と、最近の女優はミューズを務めるブランドのドレスばかりで退屈なので、ビョークの白鳥ドレスくらいにインパクト大なレッドカーペットを期待してます。
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