イノセンス (2004):映画短評
イノセンス (2004)
視覚/聴覚/言語中枢が膨大な情報量に圧倒される
また新たに描く「攻殻機動 SAC_2045」が配信開始された2020年4月、こういう「攻殻機動隊」があったことを再認識。
人形をモチーフに、全編の隅々にまで押井守監督の美意識が行き渡る2004年の名作。細部まで緻密に作り込まれた光景、浮遊感溢れる無国籍風音楽、そしてレーモン・ルーセル、ベルメール、リラダンから孔子、釈迦に及ぶ夥しい引用の数々で構築され、視覚/聴覚/言語中枢のすべてが膨大な情報量に圧倒され続ける。中でも目眩を覚えるのは、極北の犯罪都市の祭のパレードの光景と、ハッカーが住む精巧な時計内部のような館で時間の迷路を体験するシーン。今見ても、その夢幻的な美しさの強度は変わらない。
この短評にはネタバレを含んでいます