スキャナーズ (1981):映画短評
スキャナーズ (1981)ライター2人の平均評価: 4.5
スプラッターな人体破壊満載のサイキック・ホラー
デヴィッド・クローネンバーグ監督にとって初めてのメジャー級ヒットとなったサイキック・ホラー。スキャナーと呼ばれる超能力者を巡る巨大企業の陰謀が、やがて善と悪に分かれて対立する2人のスキャナーによる壮絶なテレキネシス対決へと発展していく。クローネンバーグ映画の中では特に分かりやすい作品。有名な頭部爆破シーンをはじめ、ディック・スミスやクリス・ウェイラスによる人体破壊エフェクトは今見ても見事な出来栄えで、電話回線を通じたテレパシーでコンピューターをハッキングするというアイディアも先見の明と言えよう。マイケル・アイアンサイドの怪演も最高!(Amazon Prime)
電脳世界への侵入はここでも行われていた
人間の思考をスキャンする能力を持つ超能力者"スキャナー"たちを描く1981年のSFサスペンス。電脳世界の映像がCG製ではなく、PC部品を使った小道具なのは今見ると怯むが、製作年はゲーム内世界をCGで描く「トロン」の1年前。映像自体より、人間の意識のスキャンとコンピュータ内情報のスキャンを同じことだと断じる、発想の飛躍こそ妙味。さらに意識が人間の身体を変形させ、データが機械を爆発させるという、非物質と物質の境界線のいきなりの消失と、そのときに出現する得体の知れない柔らかいものこそ、クローネンバーグ作共通の醍醐味。本作では、電話の受話器から流れ出る液体のトロリとした粘着性にこの監督の真髄がある。