セブン・サイコパス (2012):映画短評
セブン・サイコパス (2012)'90年代風のオフビートなバイオレンスは今さら感が拭えず
スランプ気味の映画脚本家がネタ探しのために“イカれた奴”を新聞で募集(厳密には彼の親友が勝手に広告を出したのだけど)したところ、ちょっとばかしヤバすぎる連中が集まってしまい、その結果とんでもない珍騒動に巻き込まれてしまう。カルトな匂いのプンプン漂うオフビートなバイオレンス・コメディだ。
シリアルキラー専門のシリアルキラーに極悪人専門のヒットマン、妻の入院費を稼ぐためペット犬を誘拐し続ける男に愛犬家のマフィア。確かに少々おかしな連中ばかりだが、本人たちは至って大真面目。その著しいギャップが、シュールな笑いとシチュエーションを生み出していく。アクの強い登場人物たちによる複雑極まりない群像劇を、軽快なテンポでまとめあげていくマーティン・マクドナー監督の手腕が光る。
ただ、マニアックなサブカルネタを散りばめたセリフを含め、この手の映画はタランティーノやガイ・リッチーが’90年代にやり尽くしてしまったとも言える。トム・ウェイツやクリストファー・ウォーケンの起用にしても、本人たちはいい味を出して好演なのだが、やはり’90年代的なベタさを醸し出す。どうも、全体的に今さら感は拭えない。