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とらわれて夏 (2013):映画短評

とらわれて夏 (2013)

2014年5月1日公開 111分

とらわれて夏
(C) MMXIV Paramount Pictures Corporation and Frank's Pie Company LLC. All Rights Reserved.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

中山 治美

色づく母に、春情を催すボク

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

 K・ウィンスレットの裸体は見飽きたが、脱いでない本作が最も官能をくすぐられる。脅迫され、かくまう事になった脱走犯との間に芽生えてしまった禁断の恋。その2人の間に交わされる視線や指先での愛撫を、思春期を迎えた息子の目線で描く。母親のオンナの部分を見せつけられた戸惑いと、性への関心という少年の揺れる心にこちらもドッキドキ。そこに周囲に知られちゃいけないという隠匿さも加わって、妄想はマックス! 主人公を自分に置き換えて観ると尚、楽しい。
 恋愛映画は女子のモノという認識があるが、むしろ本作は男子にぜひ! 女子のTシャツから透けるブラジャーに欲情した夏の日の思い出が甦ってくるに違いない。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ケイト・ウィンスレットの巧さとエロさ

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

ジェイソン・ライトマン監督作の割にまったくクセがない、かなり直球のラブストーリーだ。とはいえ、ここまでベタベタな展開ながら、クライマックスの逃亡計画に釘づけになってしまうのは、登場人物に感情移入させる監督、そして役者の巧さ。精神的にギリなケイト・ウィンスレットの演技に改めて巧さ…だけでなくエロさまで感じさせられるのだ。
本作は実母とはいえ、少年目線で描いていることからも、『おもいでの夏』『君がいた夏』など“ノスタルジックな年上女性との初体験モノ”系の邦題が付けられたとしか考えられない。タイトルでいえば、原題の“労働者の日(9月第一月曜日)”の蒸し暑さ。これがエロさをより引き立てている。

この短評にはネタバレを含んでいます
ミルクマン斉藤

ジェイソン・ライトマンらしからぬ甘さがけっこうイイ。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

脱獄犯に監禁される母子のサスペンス劇として始まるこの作品。ストックホルム症候群の実例を想起させたり、疑似的な父子の関係を匂わせたりしながらも、いつしかロマンス小説的展開に。いささかネジれたストーリーラインは確かにこの監督らしくもあるだろう。その中心テーマはずばりセックス。性欲を封じていた中年男女が、ピーチ・パイ造りで互いの手を重ねたとたん一気に噴きあがる肉体の震え(大甘なエンディングも“雀百まで”的な性欲の完結に思える)。母と疑似父との一挙一動が少年の目を通じて描かれることで、禁忌の香りも匂わせて余計エロティックだ。リビドーを刺激された彼の、妄想の産物のような美少女転校生との初恋も面白い。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

センシュアルなピーチ・パイ作りに目が釘付け

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

人間の弱さやダメな面を一見シニカルに、でも温かな視線で分析してきたジェイソン・ライトマン監督にしては異色といえるラブストーリーだ。夫に捨てられ引きこもりになった主婦アデルが息子と一緒に脱走犯フランクの人質にされ、実は優しかった殺人犯と恋に落ちる展開はロマンス小説さながら。器用で料理も上手なフランクは「レシピなんで必要ない、本能で焼くんだ」と菓子職人が聞いたら腰抜かしそうなことを言いながら、アデルの手を取ってパイ皮をこねて桃の下ごしらえをする。パイ作りがこんなにセンシュアルとは……。このシーンに全てが集約されているし、クライマックスの伏線になっているのも素敵だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

メロドラマの枠からはみ出た、思春期のエロスに唸る

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ジェイソン・ライトマン監督が正統派のメロドラマを撮るのは意外な気もする。が、そこには確かに“クセ”がありドラマを興味深いものにしている。

 シングルマザーや思春期に入ろうとしているその息子と、心優しい脱獄囚。彼らの間には父と子のような絆に加え、悲しい恋が芽生える。そんな構図だけでも本作が情感にあふれていることが予測できるだろう。

 加えられた“クセ”は、少年の性の目覚めの要素。脱獄囚が拘束された母に食事をあたえるスプーンの運びや、パイ作りの際に密着する彼らの手と手、そしてダンス。いずれも少年の視点でとらえられ、ほのかなエロスを匂わせているのが妙味。やはりこの監督はただ者ではない。

この短評にはネタバレを含んでいます
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