危険な関係 (2012):映画短評
危険な関係 (2012)観客を騙してこそ女優
『初恋のきた道』で世の男たちの心を鷲掴みにしたチャン・ツィイー。うぶな容姿に惑わされがちだが、ハリウッドでも地位を確立した貪欲さや先輩コン・リーとタメを張る負けん気の強さを感じ取っている人たちも多いだろう。それでも、スクリーンでは化けるのだ。
チャンが演じるのは、セレブ男女の恋愛ゲームに巻き込まれる貞淑な未亡人。小鳥のような可憐さ、何も知らない処女のような透明感、そして絶好のタイミングで流れる涙…。適材適所でいかんなく発揮される女子力に、ただ、ただ感服だ。結果、手垢まみれの題材を、悲劇のヒロインが際立つ自分色に染めてしまった彼女。文句なしのアジアが誇るトップ女優である。
この短評にはネタバレを含んでいます