サンブンノイチ (2013):映画短評
サンブンノイチ (2013)ライター2人の平均評価: 3.5
主演3人の魅力を最大限に発揮させた演出力は認める
これでもかと、セリフにタランティーノ&映画ネタが入っているのが鼻につく。というか、設定はもちろん、フラッシュバックの多用など、20年前から量産のタランティーノ・フォロワーで、相変わらずの棒ながら健闘の中島美嘉と「I.W.G.P.」のその後のキングような窪塚洋介の起用も、どこか時代錯誤を感じる(劇中、池畑慎之介☆が延々ゴア表現を語るのは、あの「悪魔の女医さん」へのオマージュか?)。
ただ、戯曲的な作りだけに、舞台出身の藤原竜也とブラマヨ小杉の巧さが抜群に映え、身体能力を生かした田中聖の起用も納得。デビュー以来、決して失敗作のない品川監督だが、是非ガチなアクション映画にも挑んでほしいところだ。
色眼鏡なしで評価すべきエンタテインメントの名手出現!?
頻繁に時制を往還してこそ活きる複雑なプロットを、観客のアタマを無駄に働かせることなくスピーディに描いてみせる巧みな演出。「しゃべくり」と「喧嘩≒アクション」へのこだわりを容赦なく俳優たちに課しつつも(しかも長回しを多用して)いちいちキマっている。劇中でてらいもなく吐露されるようにタランティーノの作劇術が範であるのは明らかだが、前作『漫才ギャング』も相当に感心したことだし“おしゃべりクソ野郎”の映画の才は本物と認めていいだろう。俳優陣もスタッフも、かなぁりノッていたのではないか。竜也・小杉・聖の好演はいわずもがな、得体の知れぬイカれたムードを分泌する池畑・窪塚・木村了の怪演も楽しい。