ルパン三世 (2014):映画短評
ルパン三世 (2014)ライター3人の平均評価: 3.3
コスプレ&モノマネ大会でもええやん
『るろ剣』の大友啓史監督の「ただコスプレで再現するだけでは、原作にかなわない」という言葉を嘲笑うかのように、「ふーじこちゃーん」な小栗ルパンを筆頭に、恐ろしいぐらいコスプレ&モノマネ大会。だが、それが悪いわけではなく、アニメ版>原作をリスペクトしたエンタメとして成り立っているのは、ハリウッドの洗礼を受けた北村龍平監督の力量だろう。『オンリー・ゴッド』組のほか、香港パートに葉山豪を登場させたキャスティングもいいし、『セデック・バレ』チームのアクションもなかなか。そんな脚本の緩さをカバーするハッタリ感など、良くも悪くも『ベルばら』を実写化した山本又一郎(水島力也)映画以外、何物でもありません。
これならシリーズ化切望です。
ハリウッド経験が吉と出たのか、過去の北村龍平イメージとは異なるスマートな仕上がり。決闘至上主義的な彼なりのこだわりも今回はニヤリとさせてくれる。キャスティングも想像以上に違和感なく (銭形=浅野、五ェ門=綾野のコメディ・リリーフふたりは特に儲け役)、アニメ版の固定観念を逆手に取っての「全編吹替」も効果的だ(黄色フィアットのナンバー末尾が「33」になっているのも「カリオストロ」オマージュだね)。ちゃんとカネを使って作りこんだ美術デザインも安っぽさがなくていい。タイのチームを起用した“痛い”アクション(ただ繋ぎはイマイチ)、アルバニア人A.シュラクのほぼ鳴りっぱなしブラス・ファンクも爽快!
あのモミアゲがないのがちょっと気になる
原作コミックやアニメ化作の熱心なファンではないが、それでもルパン三世といえば、"軽妙さ"が身上だというイメージは持っている。おそらく、速度よりも、軽やかさとタイミングが重要。とすると、それはやはり、重力から解き放たれた動きが可能なコミックやアニメの得意とする領域だからだろうか、小栗旬演じるルパン三世は、その口調や表情をあえてアニメ版に近づけることで、アニメの軽妙さを取り込もうとしているようにも見える。
とはいえ、人間が赤い上着を着ていて、違和感を感じさせない。それだけでも、かなりの映画ならではのマジックが働いているのに違いない。