I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE (2015):映画短評
I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
手描きの温もりを残したキャラ造形が成功の鍵
生誕65周年を記念した3DCG版ピーナッツ・ムービーは、赤毛の女の子に一目惚れしたチャーリー・ブラウンの不器用な恋物語と、戦闘機パイロットに憧れるスヌーピーの妄想アドベンチャーが描かれる。
CGのリアルな質感がメルヘンな世界観を台無しにするのでは…と若干心配だったが、手描きの温もりを残したキャラ造形や美術デザインは原作コミックのイメージを崩すことなく、昔ならではのアニメらしさを再現することにも成功している。
日本語吹替版を子役にやらせたのも大正解。谷啓とかなべおさみがチャーリーの声をやってた昔の吹替版も、あれはあれで味があるといえば確かだけど、子供心に違和感は拭えなかったからなあ(笑)。
画面のスミまで原作への敬意が充ちている
原作コミックのタッチを変えずに、そのままCGアニメ化するーーこの難関に挑むために、無数の創意工夫が加えられている。まず、キャラクターの全身は立体だが、目と口はコミックの線画のままにして、表情をコミックと同じものに。通常のアニメは1秒24フレームだが、それを12フレームにして、キャラクターの動きをシンプルに。コミックで使われる、手足を動かす動作を複数の手足で表現する技法をそのまま使い、コミックの雰囲気を活かす。そのうえで、スヌーピーが空想する大空での飛行機同士の戦いや、子供たちのスケート遊びなど、映画の大画面ならではの広大な光景をたっぷり投入。画面のスミまで原作への敬意が充ちている。