ヲ乃ガワ-WONOGAWA- (2014):映画短評
ヲ乃ガワ-WONOGAWA- (2014)ご当地映画の先入観を覆す野心作
山形県は小野川温泉の全面協力で撮影された本作は、いわゆる町興し的なご当地ムービーなのだが、意外にもガチなSF映画に仕上げたところが実に興味深い。
もちろん温泉をはじめとするローカル色は随所で生かされているのだが、あくまでも映像作家の個性や世界観を全面に押し出すことで、巷にゴロゴロしている安易な観光PR映画に陥ることを避けたのは賢明だったと言えよう。
ストーリーや設定の大きさに比べると低予算ゆえの限界は否めないが、「原子人間」などの古典SFを彷彿とさせる未来風景のレトロな手作り感と、東日本大震災後の体制不信を如実に映し出したサイバーパンクな世界観には見るべきものがある。その志を評価したい。
この短評にはネタバレを含んでいます