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ラン・オールナイト (2015):映画短評

ラン・オールナイト (2015)

2015年5月16日公開 114分

ラン・オールナイト
(C) 2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

ミルクマン斉藤

やっぱリーアムとの相性は抜群だな、J.コレット=セラ。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

なんだかアクション映画のヒトになっちゃった感もあるL.ニーソンだが、『96時間』の生ヌルさはここにはない。義理と人情を秤にかけた、アイルランド系マフィアのまさしく任侠映画。敵となるのは兄弟分E.ハリスだが、どちらの言い分も間違ってはいないのに闘わねばならぬ『博奕打ち 総長賭博』ぽい運命論が泣かせる(操車場での西部劇的な対決は名シーン!)。いわばヤクザな親父を持った彼らそれぞれの息子たち(対極とは云える育ちかただが、いずれにしろ不幸を背負っている)のために殉ずる、という悔恨の情に満ちた父親同士の闘いであり、それが激しいカーチェイスやスナイパー相手の緊迫したサスペンス以上に心動かされるのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

ある意味、愛憎入り混じるオヤジ同士のラブストーリー

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 裏社会を牛耳るボスのバカ息子を殺してしまったマフィアのヒットマンが、報復の標的となった自分の息子を守るために夜のN.Y.を駆け回る。
 お膳立ては極めてシンプル。しかし、主人公とボスが実は少年時代からの親友で、しかもお互いに息子との間には根深い確執がある。ヤクザ稼業ゆえに父親としては失格な2人の中年男。そんな彼らの複雑な友情を軸にすることで、数多の逃亡サスペンスとは一味違うハードボイルドな男のドラマに仕上がっている。
 やはり見どころは、リアム・ニーソンとエド・ハリスという強面オヤジの競演。愛情と憎しみが激しくぶつかり合う姿は、さながら男同士の「風と共に去りぬ」。これだけでお腹いっぱいだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

コレット=セラ、もはや巨匠!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ジャウマ・コレット=セラ監督はただ者ではないと思っていたが、これは想像以上。まさに嬉しい驚きだ。

 リーアム・ニーソンを3度主演に迎えた本作は、前2作以上の筆圧。スネに傷を持つヤバいヤツらの人間模様の描写には無駄がなく、なおかつ必要な情報がすべて詰め込まれている。最小限の描写で濃密に描き切る手腕。これはやはりただ者ではない。

 見どころは多いが、単なる一夜の逃避行モノに終わらせない工夫も光る。リーアムふんする主人公が、決して息子を犯罪者にしないという意志をもって行動している点が妙味。かといって親子愛をしつこくアピールしない、あざとくない点もイイ。大人向けの本格派ハードボイルドだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

生まれ変わるならリーアム・ニーソンの子になりたいの

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

戦う60代、リーアムが今度は息子のために命を張る! 今回は義理と人情の板挟みになるのがポイントで、悪の排除に躊躇しない『96時間』のイメージとはチョイ違う。ただし高倉健的な逡巡はなく、割とあっさり息子を選ぶあたりがハリウッド。父と息子の不仲もお約束っぽいが、コレット=セラ監督作に深い人間ドラマを期待するほうが野暮ってもの。ありふれた設定で十分。とはいえヒネリは必要で、リーアム演じる殺し屋ジミーにある種の敬意を抱いている風にも見える刑事が登場。三つ巴の拮抗状態が生む緊張感がじわじわ来る。侘び寂びは無いけど、渋さはある。見終わって、生まれ変わるならリーアムの子になりたいとまたもや思いました。

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くれい響

これぞ観たかった『96時間/レクイエム』!?

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

疎遠だった我が子が事件に巻き込まれ、ニーソンがまたも覚醒! 警察や暗殺者ら相手にNY中を逃げ惑うが、軸となるのはエド・ハリス演じるニーソンに我が子を殺されたマフィアのボス。つまり『96時間リベンジ』に続く、父親VS父親の戦いだが、2人は苦楽を共にした旧友というキャラ設定や、この顛末をひと晩で描く展開からハードボイルド色が濃厚に。突然轟く雷や場面転換などの過剰演出もあれば、西部劇ばりにじっくり魅せるニーソンVSハリス戦など、メリハリの効いた演出もいい。いろいろカブる部分も含め、これぞホントに観たかった『96時間/レクイエム』。ただ、義娘役のジェネシス・ロドリゲスがあまりにお飾りなのが悔やまれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

父と息子、そして旧友同士の男のドラマ

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

「96時間」シリーズは"娘を救う父親"だが、こちらは"息子を守る父親"。息子なので、ただ救えばいいわけでもなく、反撥しあい、共闘しあう。さらに、父親と旧友との友情とライバル意識が絡まり、男のドラマに。
 リーアム・ニーソンは「シンドラーのリスト」以降は演技派路線を行く手もあったのだろうが、アクション・スターになってしまうのは、あのガタイの説得力ゆえか。背がデカく、ムダ肉がなく、あのガタイならそんなことも出来るかと思わせる。息子役のジョエル・キナマンは、顔は別系統だがガタイが同系で、並んで歩く後ろ姿は親子。キナマンのスーパーヒーロー映画「Suicide Squad」のガタイの説得力に期待。

この短評にはネタバレを含んでいます
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