インデペンデンス・デイ:リサージェンス (2016):映画短評
インデペンデンス・デイ:リサージェンス (2016)ライター4人の平均評価: 3
豪快だが淡泊!? もっとアツさを!
2時間をゆうに超えるのが当たり前のエメリッヒ作品が2時間ジャスト。こんな“短編”で大丈夫か!?……と不安を抱きつつ見たら、ある意味それは的中してしまった。
エイリアンに立ち向かう人々の群像という前作の構造を踏襲。が、それが早足で進み、ドラマがちゃんと伝わってこないのは勿体ない。丁寧に描いたら、前作の特攻オヤジのような泣きキャラも生まれ得たと思うのだが……。
とはいえ豪快一徹のエメリッヒ節は健在。地球の重力を無に変え、地表を持ち上げては落下させるエイリアン猛攻のスペクタクルは圧倒的だし、海上のUFOはむやみにデカい。前作ゆかりの若き新キャラに力を注いでいる点も評価しておきたい。
画面が大きいって素晴らしい
巨大なスクリーンに、巨大な光景が映し出される。その光景が、現実世界を凌駕するサイズと勢いで、目の前に迫ってくる。それに圧倒されることの気持ちよさ。こういう感覚こそが、映画の原初的な快楽だったんじゃないだろうか。なのでIMAXを推奨。
エイリアンの攻撃による地球の重力の変化に伴って、海の水平線が、横ではなく、縦になっていく。宇宙船の巨大さの表現方法に、こうきたかと膝を打つ。ああ、画面が大きいということは、それだけで素晴らしいーーそう痛感する映像に何度も出会える。登場人物全員が何の疑問もなく好戦的なのは、逆に観客に「ちょっと待て」と思わせるためなんだろう、多分。
これぞエメリッヒ。これぞ『ID4』。
前作から20年のあいだに、地球はたびたび異星人や怪獣の襲来に遭い、映像技術の進化に伴い、観客の目はマヒしてしまった。そこでエメリッヒ監督はそれらの“全部乗せ”という強攻策を取りながら、前作のオマージュも散りばめ、“これぞ『ID4』な世界観”を作り上げた。誰もが死んだと思ったオークン博士の復活のほか、キャラ設定のムリヤリ感は否めないが、このケレン味こそエメリッヒ映画の醍醐味。ウィル・スミス不在の穴を埋めるため、次世代キャラが健闘するなか、その美貌でマイカ・モンローを喰ってしまった感のある新婚アンジェラベイビーの活躍に驚き! テンポ良く120分にまとめた潔さもいいし、まだまだ付き合いますよ。
つまんなくはないけど乗り切れない感じがもどかしい
アメリカがエイリアンの侵略を食い止めてから20年後という設定に期待しすぎたかも。復興後の地球の発展ぶりとか納得がいくけど、再びの侵略を受けてからの展開は前作の呪縛から逃れられないというかか、オマージュを捧げてるというか……。製作陣の意図不明なシーンが多く、お尻がムズムズ。様式美のつもり? エイリアンと人類のテレパシー関係を研究する女性学者と「敵の敵は味方」理論で地球人の救世主となる存在の役立たずぶりにも驚いたぜ。ヴィヴィカ・A・フォックス演じるストリッパーが医師になっている設定とか不要だし、中国市場に向けたキャスティングも露骨すぎて、ちょっとびっくり。つまんなくはないけど乗り切れないのよ。