死霊高校 (2015):映画短評
死霊高校 (2015)ライター4人の平均評価: 2.5
勢い重視! そこが魅力のティーン・ホラー
ティーン・ホラーをPOVで撮る、YouTube世代向けのアイデアも面白いが、カメラを回す必然性やストーリーの破たんを気にせず、勢い任せに描き切った姿勢に好感が持てる。
『パラノーマル・アクティビティ』とは製作者つながりで比べられるのは避けられないが、こちらはカメラが良く動く。“必死に逃げてるのにカメラを回す余裕があるの!?”とツッコみたくもなるが、それでもアクティブな映像と轟音にはドッキリさせられた。
高校の校舎~講堂という舞台設定も活きた。天井の高い頭上の空間につねに異様なものが漂っていそうな、そんな空気のとらえ方が妙味。何も考えずに見る“お化け屋敷映画”としては十分に及第点。
夜の学校が怖いのは何かを隠しているから
「ブレアウィッチ・プロジェクト」「パラノーマル・アクティビティ」系の"誰かが撮影した映像"で、高校生の男女が被害にあう"ティーンエイジ・ホラー"。このホラー映画の2つの王道ジャンルを踏まえつつ、そこにちょっとしたヒネリが加えているのがポイント。20年前、同じ高校の演劇部が上演中に死亡事故が起きた戯曲を再び上演しようとする、という因縁話が掛け合わされて、定番ジャンルに独自の味付けを加えている。
しかし何より怖いのは、夜の無人の学校の気配。停電中で生徒のひとりが電灯の代わりにビデオカメラのライトを使うという形で、学校という建物が昼は隠している禍々しい気配が生々しく映し出される。
恐怖度もマイルドなデート向け学園ホラー
深夜の高校の講堂に忍び込んだ男女学生に襲いかかる怪現象と、20年前の学校演劇の上演中に起きた惨劇の真相を、POVのファウンドフッテージ形式で描く。要するに『パラノーマル・アクティビティ』の高校生版だ。
さんざん出尽くした感のあるジャンルだが、本作も御多分に漏れず目新しさは一切なし。というか、そこで携帯の録画機能がオンになっているって都合良すぎじゃね!?…みたいなシーンの連続。突っ込みどころの多さだけは他の追随を許さない。
とはいえ、子供だましながらも絶叫シーンはそれなりに用意されているし、血みどろのゴア描写がない分だけ恐怖度もマイルドなので、お手軽なデートムービーとしてはアリかも。
キャラ先行のアメリカ版『学校の怪談』
呪われた家から、呪われた高校へ。その流れは決して悪くないが、『パラノーマル・アクティビティ』も『REC』もひと段落し、かなり頭打ち状態なPOVホラー。本作でも“まったく感情移入できない”アメフト選手に、カメラを持たせて主観映像を撮りながら、しっかり引きでもカメラが回る中途半端な感じで、オリジナリティに欠けるストーリーは進む。“絞首台”というワンアイデアと、チャーリー・グリミルというキャラでひと儲け、という制作陣の意図がバレバレで、どこか興醒め。偶然にも同じ名の「チャーリーゲーム」効果もあり、続編制作の可能性も高いアメリカ版『学校の怪談』だが、今後あまり付き合いたいとは思わない。