殿、利息でござる! (2016):映画短評
殿、利息でござる! (2016)ライター2人の平均評価: 4
このつつしみの精神は都知事にも見習って欲しいですね!
仙台藩の重い年貢に苦しむ宿場町の商人たちが、赤字財政の殿様に大金を貸して利息を取ることで、貧しい町民たちの生活を少しでも楽にしようと画策する。荒唐無稽のように思えて江戸時代の実話だというのだから、まさしく事実は小説よりも奇なりである。
身分制度という格差社会の不公平感だったり、仲間同士の一致団結を阻む個人の見栄や欲だったり。現代にも通じる社会風刺や人間風刺を随所に散りばめつつ、人情味あふれるユーモアと軽快なテンポで話は進む。
そして、私利私欲を捨てたリーダーたちのつつしみ深さに思わず胸が熱くなる。これこそ今の我々が学ぶべき精神であろう。演技初挑戦の羽生くんもなかなか堂々たるもんですぞ!
煩悩まみれの強欲な自分を反省しちゃいます
東北大震災や熊本地震で各人が身の丈に合った援助活動をするのを見て、多くの人が「日本も捨てたもんじゃない」と思ったはず。私利私欲を捨てて他人のために尽力する心意気が日本人特有とは思わないが、実在した無私の人々を描く本作は利他主義の素晴らしさを教えてくれる。名誉欲を満たすために散財するバカ殿に融資して利息を取り立てる発想がまず意表をつき、成功させるまでの紆余曲折に笑って、泣いた。着地点が見える展開を興味深くする物語作りだけでなく、多才な登場人物に緩急ある見せ場を作った中村義洋監督の演出も技あり! “手柄を自慢せず謙虚に生きる”などの戒めに煩悩まみれの強欲な自分を反省しました。