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日本で一番悪い奴ら (2016):映画短評

日本で一番悪い奴ら (2016)

2016年6月25日公開 135分

日本で一番悪い奴ら
(C) 2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

なかざわひでゆき

間違いなく'16年の日本映画を代表する一本

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 巨大組織の論理や思惑に翻弄されるアウトローたちの悲哀を、セックス・ドラッグ・バイオレンスてんこ盛りで描く。この荒々しいまでの生命力と躍動感!東映実録ヤクザ路線の魅力を現代に継承する傑作だ。
 市民の安全を守るという建前とは裏腹に、点数稼ぎのための不正がまかり通り、モラルよりも組織の利益やメンツが優先される警察の実態。いかにも日本的な腐敗の構造に苦笑いしつつ、昨今の三菱自動車や都知事など様々な不祥事の根底にも同じような原理が働いていると気付かされる。
 愚直なくらいに悪に染まっていく綾野剛は文句なしの当たり役。男女の心のひだが伝わる矢吹春奈との濡れ場は、近年の日本映画でも屈指の名シーンだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

懐かしい“オトナのヤバい映画”臭がたまらない。

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

不器用すぎる柔道家からイッちゃってる初老男まで、エースに憧れ、S(スパイ)と組んだ男の四半世紀を演じきった綾野剛。『リップヴァン』のアムロ好きとしてはちょいと衝撃的だが、『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』のレオばりの怪演だ。「ゆとりですがなにか」にも似たブロマンスにもグッとくるし、時代設定もそうだが、日本映画界にR指定なんてなかった時代の、“オトナのヤバい映画”臭がたまらない。そういう意味では、今の日活が東映と組んだからこそできた一級のエンタテイメントだが、笑いの部分が銃器対策課の面々の反応程度なのが惜しい。どこか吹っ切れないのは、白石和彌監督の生真面目さゆえか?

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

公開直前に連続発覚した北海道警察の不祥事が素敵PRに!?

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

2002年に起きた稲葉事件を元に北海道警察がうやむやにした事件の真相や闇の部分にフィクションという形で鋭く切り込む白石和彌監督はじめとする関係者の心意気にしびれた。彼らの反骨精神は、『スポットライト/世紀のスクープ』で描かれたジャーナリスト魂に通じるものがある。監督の無駄のない、要所を抑えた演出で物語はテンポ良く進行し、ダレる瞬間は皆無。配役も素晴らしいが、なかでも底力を見せたのが綾野剛だ。気はいいけどバカ丸出しで、警察組織のしがらみと自ら築き上げた人脈の狭間で堕ちてゆく主人公を覚悟を決めて演じていて、好感度UP。公開直前に北海道警察の不祥事が連続発覚し、隠蔽体質は相変わらずと思いました。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

『その後の仁義なき戦い』との二本立とかハマりそうだ。

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

白石和彌監督は社会や人間の闇を見つめる生真面目さが持ち味だと筆者は思っている。ただ今回、脚本が前二作『ロストパラダイス~』『凶悪』の高橋泉との共同から池上純哉になったせいか、視座の「角度」が変わった。世界のアウトサイドに向けて図式を引くのではなく、汚れたインサイダーを追う事で全体が多元的に戯画/喜劇化したのだ。

ヤクザ、というかギャング映画のような警察映画で、『グッドフェローズ』ラインのスコセッシ節狙いは正確に伝わってくる。“ハイスピードのマラソン感”はもっと欲しいが、70年代後半からの長距離を走り切る綾野剛は凄い。超いい味なのがYOUNG DAIS。ハルシオンの錠剤食ってるとこ笑ったわ~。

この短評にはネタバレを含んでいます
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