君の名は。 (2016):映画短評
君の名は。 (2016)ライター3人の平均評価: 4.3
一度は見ておきたい
結果として日本映画史に残る大ヒット作なりました。
これまで100億円を超えるアニメ作家は宮崎駿監督しかいなかったことを考えるとそのすごさが分かります。
過去の作品に比べうるととても一般的になった感もアありましたが、それでも新海誠健在を感じることができる部分もたくさんあります。
特に楽曲の使い方などは『秒速5センチメートル』を彷彿とさせます。
劇場が再開しつつも旧作中心のラインナップの中で久しぶりにスクリーンで見られる、この時期に未見の方は是非。
新海誠とRADWIMPSの素晴らしき出会い
宮崎駿監督作品における久石譲など、
名作の誕生には優れた音楽の存在は欠かせないが、本作もその一つ。
青春のきらめきと疾走感、
すれ違う主人公2人のもどかしさと切なさ、
2人の運命を大きく動かす宇宙の神秘と壮大さを、
RADWIMPSの音楽が相乗効果を持って表現する。
近年の日本映画で物語と音楽がこれほど一体化した作品も稀だ。
RADWIMPSの野田洋次郎は主演作『トイレのピエタ』でも、
劇中であまり感情を露わにしない主人公の心情を総括するような主題歌を作り上げ、
作品の品質を10倍にも20倍にも引き上げてしまった前歴を持つ。
ファンは重々承知だろうが、彼らに疎かったおばさんでも才能に震えた。
せつなさとケレン味が融合した、新海監督の集大成
ジブリの影響を受け過ぎた『星を追う子ども』で、この先どうなるかと思わされた新海誠監督だが、短編『言の葉の庭』を経て、久しぶりに観たかった新海作品を撮った。前半パートこそ、『転校生』+細田守版『時かけ』のイメージを拭いきれないが、シャマランばりの衝撃の展開を経て、いい意味で新海節ともいえるケレン味炸裂! 『ほしのこえ』超の2人の遠距離恋愛がせつなすぎるうえ、毎度のことながらアーティストの楽曲(今回はRADWIMPS)の使い方が卑怯なほど巧い。もちろん、“すれ違い美学”の原点であるラジオドラマ「君の名は」のタイトルを拝借しただけに、3・11を体験した観客の気持ちを引っ張る演出も冴え渡る。