ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 (2015):映画短評
ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 (2015)ライター3人の平均評価: 2.7
『ローマの休日』の偉大さを再認識
戦勝記念日に、王女がロンドンの街へ繰り出した実話から着想を得たという。となると『ローマの休日』と比較してしまうワケだが、相手が悪かった。
王女が、民衆の戦争で負った傷や本音を知り、それが今の彼女の言動にどう影響を及ぼしているのか。
実在の人物を描いているのだから、例えフィクションでも今に繋がる説得力あるおとぎ話を期待していた。
しかし王女が街の狂騒に巻き込まれて右往左往するのが中心。兵士との出会いはあるが、それも取って付けたかのよう。そもそも王女に品がなく…。
こっちの方が王室の実像に近いのかもしれないが。でもやはり英国映画らしいウィットに富んだセリフで当時の世相を斬ってよ。
終戦の喜びに沸くロンドンにプリンセス降臨!
若きエリザベス王女と妹のP2(プリンセス#2)の終戦日の外出が“もしも?”という少女漫画的な発想がチャーミング。男性から“可愛い子ちゃん”と声をかけられ、生まれて初めてバスに乗り、SOHOの売春窟やテムズ川南部の貧しい地区にまで脚を踏み入れる。王女たちの上流の言葉遣いやマナー、世間知らずぶりで笑いを取るのはお約束? 任務に失敗して戦々恐々のお目付役や王室支持のギャングなんて小ネタも笑える。やんちゃな妹を追うエリザベス王女と助けてくれる兵士の関係性もラブコメのようでキュート。戦争の悲惨さや王制に対する庶民の考え方などを盛り込んでいるものの、重すぎないので軽い気持ちで見るのにピッタリ。
爽やかに描かれる英国王女エリザベスの忘れがたき一夜
ヨーロッパ戦勝記念日の夜、当時まだ19歳の英国王女エリザベスが妹マーガレットを連れ、祝賀ムードで賑わうロンドンの街へお忍びで出かける…という実話をヒントにしたロマンティック・コメディだ。
実際は大勢のお供を引き連れていたらしく、劇中で起きるハプニングや冒険や淡い恋愛は完全なるフィクション。世間知らずのエリザベスが悲喜交々の庶民生活を垣間見ることで、未来の女王としての責任を自覚していく過程が軽やかなタッチで描かれる。
他愛ないといえば他愛ない作品ではあるが、爽やかで清々しい後味の良さは魅力。周囲をさんざん振り回しながらケロっとしているマーガレットの、天然なお転婆娘っぷりも微笑ましい。