PK ピーケイ (2014):映画短評
PK ピーケイ (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
進化するインド映画、でも踊りもあるでよ〜
中味が全く想像できない映画で、見始めてビックリ! 宇宙から来た男PKが帰郷に必要な装置を略奪されるのがつかみで、インド製SFと度肝を抜かれる。PKの帰郷を描く『E.T.』的展開と勝手に想像していたら、あっさり裏切られた。なんと、メインはラブストーリーなのだ。歌と踊りももれなくついてくるし。でもうれしい裏切りで、先入観の無いPKの目に映る多宗教が入り乱れるインドの宗教事情や金儲けに血道を上げる似非宗教団体への皮肉、はたまたインドVSパキスタンな状況に一石を投じるといった風刺の効いた仕上がり。多岐に渡るテーマをバランス良く配置し、娯楽に仕上げたR・ヒラニ監督のストーリーテリング術に脱帽だ。
脳天気マサラムービーと思いきや、ほどよくシリアス
『きっと、うまくいく』の監督&主演コンビが再び組むのだから歌と踊り、笑いと泣き、アクションとヒューマニズム等、娯楽の要素テンコ盛りであることは予想できたが意外性もあり大いに楽しめた。
異星人の目から見た、多様な宗教が持つ矛盾。それをブラックユーモアとともに浮き彫りにしている点が、まず面白く、多宗教国家インドの現実が見えてくる。さらに宗教的なテロにも切り込むのだから、ノーテンキなだけのインド映画でないのは一目瞭然だ。
「この星に来てから信仰に金をとられてばかりだ」とボヤく主人公にふんしたアーミル・カーンの、まばたきしない気張った表情がエイリアン的。真の“妙演”とは、こういうことか。