キセキ -あの日のソビト- (2017):映画短評
キセキ -あの日のソビト- (2017)ライター2人の平均評価: 3
このウチの父親、凶暴につき
いやいや、息子が音楽の道を選んだからって日本刀振り回すってさ、封建時代の武家とかならいざ知らず、現代の日本じゃただのサイコ野郎でしょ!と、主人公兄弟の父親の頑固一徹どころじゃない独裁者っぷりが強烈な本作。どこまで事実を脚色しているのか定かではないが、そりゃ顔出しできないわな、命懸けだもん、と戦慄すら覚えてしまったですよ。
それはともかく、誰もが思い描いた通りの人生を送れるわけではないけれど、しかしやり方や考え方次第では、違った形で夢や理想に近づけるかもしれないし、GReeeeNのように成功を掴めるかもしれない。人生の道は必ずしも一つじゃないというメッセージは、シンプルだけど大切な教訓だ。
モノ足りなさが評価の分かれどころ
『王様とボク』のときに比べて、段違いに魅力的な俳優に成長した松坂桃李&菅田将暉。兄弟役を演じる、そんな2人の芸達者っぷりと横浜流星、成田凌ら、注目の若手との化学反応を楽しむという意味では打ってつけな作品であることに間違いない。
また、約8年ぶりの監督作となった兼重淳は、いい意味で力が入っておらず、爽やかな青春映画に仕上げているが、かなりフィクションが入っているにしろ、この手の作品にありがちで、日本人好みな“熱量”はあまり感じられない。そのモノ足りなさが評価の分かれどころだといえるが、そんなある意味、職人技ともいえる演出がGReeeeNリスナーにピッタリなさじ加減のような気もする。