トリプルX:再起動 (2017):映画短評
トリプルX:再起動 (2017)ライター4人の平均評価: 3.8
やり過ぎ感満載なエクストリームアクションを楽しむべし
約12年ぶりとなるシリーズ復活作。中国(香港)映画界からドニー・イェン、ボリウッド映画界からディーピカ・パーデュコーンと、巨大化するアジアの2大マーケットを強く意識したキャスティングに時の流れを感じるものの、エクストリームな超絶肉弾アクションのつるべ打ちで見せていく作風はそのままだ。
見終わって10分もしたらすっかり忘れてしまうストーリーはともかく、見せ場につぐ見せ場をこれでもかと詰め込んだサービス精神はさすが。巨大チューブをバイクでサーフィンとか、マジでバカか!と突っ込みたくなるやり過ぎ感満載なアクションが楽しい。特別ゲストとして登場するネイマールの扱いも洒落が効いている。
ヴィンとド兄の「男塾」開校!
ポスターのクレジット通り、ヴィン・ディーゼル×ドニー・イェンW主演といっていいほど、全編ド兄さん汁まみれ! ぶっちゃけ、ヴィンがブライアンで、ド兄さんがドミニクな『ワイスピ』のリブートにしか見えなかったりもするが(ルビー・ローズはもちろんレティ枠!)、「それで何が悪いんじゃ!」という作り手の開き直りが作品全体を引っ張っており、妙なグルーヴも魅力的だ。唯一恐れていたD・J・カルーソー監督という点も、「他人が撮ったんじゃ?」と思わせるほど、一見さん大歓迎なおバカ・コメディになっているので、ご安心あれ。それにしても、サミュエル・L・ジャクソンの江田島平八っぷりなど、「魁!男塾」テイスト強すぎだろ!
キャラ重視のシリーズ再起動、熱烈歓迎!
『ワイルド・スピード』を引っ張るディーゼルが、もうひとつの代表作を蘇生させようと、同シリーズの方法論を導入。すなわち主要キャラを誰ひとり、おろそかにせずアクシヨンを連ねること。
ハリウッドでも大注目のドニー・イェンを光らせ、前回の“ワイ・スピ”でもガンバっていたトニー・ジャーも活躍させる。ルックスの光る女優陣もお飾りに終わらず歯切れの良い立ち回りを披露し、物語が進むほど映画はアクション祭の色合いを深める。
二作目の主人公アイス・Tにもしっかり見せ場を用意し、『トリプルX』を追っているファンへのサービスも抜かりない。ぶっちゃけアクション・バカ映画だが、ここまでやってくれると嬉しくなる。
セガール化するヴィンDをドニー様が救うよ!
15年ぶりにトリプルXに復帰するヴィンDがどんな花火を打ち上げるのか心配だったけど、冒頭から遊び心と度肝を抜くアクション満載で大満足。特に目を見張るのがドニー・イェンとトニー・ジャーの高速アクションで、スタントも自らこなす二人の躍動感あふれる動きを見るために1800円払っても惜しくない。一方、製作も務める主演のヴィンDの動きは鈍く、それなのにカッコつけるあたりにセガール化の懸念が漂う。ま、『ワイスピ』シリーズではロック様やステイサムの助けを借りてるし、自覚はあるってことね。でもアイス・キューブへの仁義の切り方は気に入った。ルビー・ローズが演じるアデルも魅力的で、スピンオフ作品を作って欲しい。