ブレア・ウィッチ (2016):映画短評
ブレア・ウィッチ (2016)ライター3人の平均評価: 3
オトナの事情に屈した『デスノ』監督
『パラノーマル・アクティビティ』がひと段落ついたので、リアルタイムで前作を知らない世代に向けての再始動しかみえない続編。アダム・ウィンガード監督の起用は唸らされたが、やはりシリーズ化に向けた“オトナの事情”に屈した感アリ。パワーアップした魔女の呪いやクライマックスのライティングなど、ホラー演出はまずまずだが、あまりにストーリーが前に進まなすぎ。少しでも真実が明らかになるなり、ウィンガードお得意の反撃展開に持っていくなり、何らかのやり方があったはずだ。百歩譲って、今作るんだったら、なぜ4DXにしなかったんだ? 『デスノート』に続き、『悪魔を見た』のリメイクまで任していいか、ちょっと心配になった。
1作目よりも遥かに怖いことは確かだけれど…
インディーズ・ホラーの俊英アダム・ウィンガードが、あの『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の正統な続編を撮る。それだけで、ホラー映画ファンの期待を煽るには十分だと言えよう。
オリジナルの演出スタイルや世界観をきっちりと踏襲しつつ、非日常の世界に足を踏み入れてしまった人間たちの疑心暗鬼と怪異現象の謎を巧みにシンクロさせていく心理描写が手堅い。ファウンドフッテージという手法が全てだった前作に比べると、ちゃんとしたプロの仕事である。
1作目よりも遥かに怖いことは確かだが、しかしその一方で、それ以上の何かに欠けるという印象も拭えない。まあ、続編という縛りがある中では大健闘だと思うのだけれど。
あの森で、恐怖はこの監督らしい角度から出現する
'99年の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」からは続編など多数の映画が派生したが、ついに第1作の正統な続編が登場。ストーリーも手法もそのまま引き継いたうえで、心理ドラマの要素を掘り下げている。
ストーリーは第1作に直結、あの映画で行方不明になった女性の弟が、姉を探してあの森に足を踏み入れる。そして手法も第1作と同じ、登場人物の手持ちカメラで出来事が記録されていく。ただし、今回はメンバーそれぞれの参加動機が異なるため、心理ドラマの要素が格段に深化しているのだ。監督は「ザ・ゲスト」「サプライズ」のアダム・ウィンガード。あの森で、恐怖がこの監督らしい角度から出現してくる。