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僕と世界の方程式 (2014):映画短評

僕と世界の方程式 (2014)

2017年1月28日公開 111分

僕と世界の方程式
(C) ORIGIN PICTURES (X&Y PROD) LIMITED / THE BRITISH FILM INSTITUTE / BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2014

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

山縣みどり

ハンカチを用意することをお勧めします

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

自閉症スペクトラムの少年ネイサンの成長を描く物語には大いに泣かされた。まずネイサンの両親のあり方に深く感動。医師の診断を聞いて「スーパーヒーローと同じで君には特殊な能力があるんだよ」と息子に言うパパに涙。接触を嫌がり、すべてに自分ルールがある息子と気持ちを通じあえない母親の苦悩に涙。そしてネイサンが人生で初めて経験する「愛」という感情に揺さぶられながらも徐々に覚醒する姿に涙。そうそう数学五輪を目指す天才集団でも浮きまくる少年の心の痛みにも泣いた。主演エイサ・バターフィールドの深みのある心理演技はもちろん、脇を締めるレイフ・スポールやサリー・ホーキンスも輝いている!

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

天才少年も思春期の方程式は等身大

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

これは好きだなあ~。『グッド・ウィル・ハンティング』の強い影響下にある天才少年のイニシエーション的な物語。あれに『スラムドッグ$ミリオネア』を混ぜ込んだのが『奇蹟がくれた数式』だとしたら、こちらは『小さな恋のメロディ』との合体だ!

国際数学オリンピックというシビアな競争の場での光と影をきっちり描きつつ、思春期の甘酸っぱい初恋模様を並行させ、全体の重心は“自我の目覚め”。さらに下部構造として「父の喪失」という主題が底流している。大人たちの描写が丁寧なのも良かった。ネイサン少年が両手に花のモテモテ状態なのはうらやましい展開だが、演者がエイサ・バターフィールド君ってことで納得!

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

一瞬、主人公の見ている数学的世界を体感!

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 突出した数学的センスを持つ主人公が街を歩いている時に、ふと、彼の目に世界が色と図形で出来たるものとして映る。すると、主人公はその美しさに魅せられ、歩くことを忘れてその場にたたずむ。純粋な美と、純粋な感動が接する、そのシーンが美しい。

 主演のエイサ・バターフィールドの、ひょろりと伸びてしまって筋肉が追いついていない手足と背丈、いつも驚きに見開いているかのような大きな青い目という姿形は、世界とどう関わればいいのかよく分からない主人公の内面の不安定さを、そのまま形にしたかのよう。ドキュメンタリー出身の監督が鮮やかに切り取る、英国ケンブリッジと台湾台北、2つの街の色彩と湿度の対比も美しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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