ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命 (2016):映画短評
ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命 (2016)ライター2人の平均評価: 3.5
アッキーはジャッキーを見習ったほうがいいですね
JFKや暗殺についての映画は多いが、妻ジャッキーの心模様に焦点を当てた点が新鮮。出色なのが、夫の死後、不眠のジャッキーがホワイトハウス内を徘徊する場面。史実かは疑問だがブーヴィエ家のDNAを感じさせる演出が腑に落ちる。「貧乏は嫌」というあからさまな態度や夫をリンカーン大統領と並ばせようとする俗物っぽさも赤裸々に描いた監督のお手並みは立派。ジャッキーが憑依した熱演を披露したナタリー・ポートマンも圧巻だ。「私人」で押し通す安倍首相夫人と違って、国家首脳夫人はやはり公人であり、品格と覚悟がないとダメだと教えてくれる。アッキーはこの映画でしっかり勉強し直して欲しいね。イヴァンかは見倣ってるんだから。
ナタリー・ポートマンを見る、それだけで満腹
ケネディ暗殺の瞬間をクライマックスに据えて、その後の一週間と、それ以前の良き思い出を交錯させた編集もいい。が、本作はやはりナタリー・ポートマンに尽きる。
ジャクリーンへのなりきりもさることながら、表情の演技がとにかく素晴らしい。視線の揺れや口元の歪み具合、それらひとつひとつが言葉以上に多くを物語る。顔の血を拭いながらの嗚咽をはじめ、クローズアップの多い映像はナタリーの女優としての凄みを伝えるに十分だ。
周囲を振り回す振る舞いも多く、権力の側にいる人間像が強調されている点には正直、共感を抱けない。が、雲の上のファーストレディが様々な局面で何を考え、何をしてきたかについては興味深く見た。