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LION/ライオン ~25年目のただいま~ (2016):映画短評

LION/ライオン ~25年目のただいま~ (2016)

2017年4月7日公開 119分

LION/ライオン ~25年目のただいま~
(C) 2016 Long Way Home Holdings Pty Ltd and Screen Australia

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

清水 節

“グーグルアース時代の母をたずねて三千里”と言うべき強い物語

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 実話でありながら、なんと強い物語であることか。貧しく幼いインドの少年が、はぐれて彷徨い始める冒頭シークエンスに息を呑む。サバイバル能力と帰巣本能の強さが、映画を貫き通す太い線。養子縁組してオーストラリアの裕福な家庭で成長する数奇な運命も、真の家族にもう一度会いたいという想いには叶わない。現代のテクノロジーによって実現する“グーグルアース時代の母をたずねて三千里”は、養母ニコール・キッドマンへの申し訳なさと、それを包み込む彼女の信念が明かされるとき、最高潮に達する。2つの国を悠然と捉えるキャメラが美しい。タイトルの意味が明かされたとき、ダスティン・ホフマンとトム・クルーズの顔が脳裏をよぎった。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

見終わって一言、「Google先生、ありがとう!」

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

多様な人種と多様な言語が混在するインドは広大すぎて、列車で寝過ごしたら言葉の通じない地域に到着なんて普通? うっかり家に帰れなくなった少年サルーの奇跡の帰郷自体がドラマティックだし、映画化も当然か。特にハラハラしたのがインドでの迷子時代。浮浪児狩りや小児性愛者など危険満載のインドでは毎年何万人もの子供が命を落としているのだろうな。怖いな。素晴らしい里親に救われたサルーがインド菓子を見て、胸の奥にしまいこんでいた実の家族の存在を思い出すくだりには泣かされた。後半のサルーと家族の複雑な心情が伝わる展開も心に沁みた! 欲を言えば、恋人よりも養母の人間性をもっと深く掘り下げて欲しかった。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

タイトルの意味は最後に判明

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

信じがたいが本当にあった話を、とてもストレートに、変な小細工をせずに語っている。そこをまず大きく評価。こういう映画は、フラッシュバックを入れ、現代と過去を行ったり来たりすることが多いのだが、今作は、最初の半分が主人公のインド時代で、次の半分が彼が大人になってからのオーストラリア時代と、まっすぐの展開。最初の1時間を、素人の子役で引っ張ってしまったのもすごいこと。それらインドのシーンでは、隠しカメラを使ってとらえた普通の人々や子供たちの映像も使われているらしい。「なぜライオン?」と思っていたら最後に判明、思わず微笑んでしまった。今作で長編映画デビューしたガース・デイヴィス監督の今後に期待。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

無償の愛とは何かを思い知らされる

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 幼い頃に祖国インドで家族と生き別れ、遠く離れたオーストラリアへ養子に出された青年が、グーグル・アースを使って25年ぶりに家族と再会するという、事実は小説よりも奇なりを地で行く実話の映画化だ。
 故郷の愛する家族に自分が生きていることを伝えたい、もう一度彼らの顔を見たいという主人公の切なる願いと執念にも感動するが、しかしなによりも心を打たれるのは、ニコール・キッドマン扮する養母の子育てに対する揺るぎない信念。無償の愛とはこういうことなのかと思い知らされる。
 そして、主人公の幼少時代を演じるサニー・パワール少年のいたいけな愛くるしさときたら!あの澄み切った瞳に胸を揺さぶられない人はいませんて!

この短評にはネタバレを含んでいます
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