パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー<永遠の3秒> (2016):映画短評
パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー<永遠の3秒> (2016)幸福感を提供する「愛され型」のフォトグラファー
いまやポストカードの定番でもある「パリ市庁舎前のキス」が『LIFE』誌で初出しされた時(1950年)、なんと特集のメインカットですらなかったのは初めて知った。普通に依頼された職人仕事が、本人の意図せぬタイミングで永遠のスタンダードとして評価される――これはまさにドアノーの愛され方と重なってくるようだ。
監督が孫娘だけに彼の親しみやすい人柄がよく出た内容だが、例えばテレビ出演した時などドアノーの「感じの良さ」は瞬間で伝わるものだ。その気さくさと、裏にある複雑さを推測するJ=C・カリエールの証言が特に面白い(珍しいカラー写真集『パームスプリングス』についてのコメントも)。日本絡みの終盤も必見。
この短評にはネタバレを含んでいます