いぬやしき (2018):映画短評
いぬやしき (2018)ライター2人の平均評価: 4
新宿を飛び回る大バトルシーンは必見!
スリム化しながらも、かなり原作に忠実に映像化しており、多少違う都庁でのアクションも、コンパクトにまとめる上ではうまいアレンジ。ただ、予算や上映時間の都合を抜きにすれば、もう少しで原作のラストまで描けただろうし、それによりなぜ機械化されたのかの一応の理屈もつけられたと思うので、そこは少し残念。佐藤健の鍛え抜かれた肉体は、老けメイクの木梨憲武との対比として活きているし、こういうジャンルの作品であれば高校生役でもあまり違和感がない。ロケとCG合成を駆使して新宿の街中を飛び回るクライマックスのアクションは圧巻で、日本の映像技術の最先端を知ることができる作品としても見応えがある。
『GANTZ』の原作・監督コンビふたたび!
悲哀を感じさせる木梨憲武の芝居は、20年前のドラマ「甘い結婚」で開花していただけに、自身と同世代となる犬屋敷役はハマリ役だ。しかも、監督は東宝と組めば、勝率が高く、奥浩哉の原作と相性もいい佐藤信介だけに、ある程度の仕上がりは予測がつくだろう。ムリのない脚色に、ハンス・ジマー風の劇伴。そして、売りである空中戦以上に見応えある新宿東口の無差別殺人シーンと、ブリュッセル・ファンタでの高評価も納得の出来だ。惜しむらくは、獅子神役のキャスティング。別に佐藤健の芝居が悪いわけじゃない。演じるキャラの善悪は違えど、あまりに『亜人』と被りすぎており、なんだかんだ日本映画界の人材不足が露呈してしまった感がある。