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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ (2016):映画短評

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ (2016)

2017年7月29日公開 115分

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ
(C) 2016 Speedee Distribution, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

なかざわひでゆき

マクドナルド成功の秘密に隠された資本主義の非情な原理

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 「マクドナルド」の営業形態を編み出した創業者マクドナルド兄弟と、そのブランドで世界的大企業を築きあげた実業家レイ・クロック。どちらの視点に立つかで本作の風景は大きく変わるだろう。
 金儲けのためなら手段を選ばず、兄弟から根こそぎ奪っていくクロックは、彼らにしてみれば悪魔の化身そのもの。だが、利益よりもクオリティを重視し、事業拡大に後ろ向きな兄弟の姿勢は、クロックの目から見れば資本主義の原理に反する罪悪だ。
 そのクロックが兄弟に言う。「ライバルが溺れていればホースを口に突っ込む。君らに出来るか?」と。アメリカン・ドリームの正体って、実はそういうことなのかもしれない。私にゃとても無理です。

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

「マクドナルド」に凝縮されたアメリカ資本主義の栄光と悲哀

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 巨大化した企業の“生みの親”は、往々にして1人じゃない。品質を追究した発明家と、ビジョンを抱き一大ビジネスに育て上げた事業家。クリエイターとプロデューサーとも言い換えられる。発明家マクドナルド兄弟と事業家レイ・クロックをめぐる本作には、1950年代に完成したアメリカの本質が凝縮している。金儲けに腐心する者を悪の権化として描くことも可能だが、クロックは情熱的な野心家であり、一方、涙を呑んだ兄弟からの視点も挿入され、ある意味でニュートラル。資本主義社会の栄光と悲哀という現実が、しっかりと提示された秀作だ。クロックが「マクドナルド」名義に固執した理由が明かされる構成上のタイミングが、実に巧い。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

次にマックシェイクを飲む時に思い浮かべるのは誰?

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

マクドナルド創業者を名乗るレイ・クロックの物語には多幸感ではなく哀切と皮肉さが漂う。成功を夢見る中年男レイが偶然に知ったファストフードに商機を見出すのはディズニー映画っぽいが、彼が野心をむき出しにした途端に物語はダークサイドに舵を切る! 仁義もモラルもないレイの狡猾なやり口に怒りも覚えるが、マイケル・キートンの怪演もあって「ビジネスで成功するには汚い手も必要なのかも」と渋々納得。ヒーローなのにヴィラン感満載ってすごい!? 完璧なオペレーションを構築した人とそれを世界に拡大した人のどちらを創業者と呼ぶかは映画を見た人それぞれだろうが、私が次にマックシェイクを飲む時に思い浮かべるのはレイだと思う。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

アメリカンドリームを追ったこの男は悪人なのか

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

タイトルの「創設者(ファウンダー)」は、一軒の画期的なハンバーガ屋に目をつけ、世界規模の会社にしたレイ・クロック。 ミルクシェイクを作るミキサーのセールスマンだった彼が、一度に8台も注文を入れてきた店に興味を持ち、訪ねて行ったところから映画は始まる。それ以前にも彼は、儲かりそうと思うことに次々手を出し、妻を不安にさせたり、友人にバカにされたりしていた。 ついにこれで成功を収めるのだが、そこに嘘や裏切りがあったことも描かれる。マクドナルドを、生みの親マクドナルド兄弟が思っていたものとまったく違うものにしたクロックは悪人なのか、そうではないのか?その微妙な部分をマイケル・キートンが名演する。

この短評にはネタバレを含んでいます
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