DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団 (2017):映画短評
DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団 (2017)ライター3人の平均評価: 3
ジャスティス・リーグとの奇跡のコラボは風刺精神も旺盛
今の世の中、国内政治から世界情勢まで「まさか」の連続だが、あのDCコミックのスーパーヒーローたちが日本の『鷹の爪団』と奇跡のコラボを遂げた本作などは、さながら「まさか」の極北に位置する事件であろう。いったい、なにがどうしてこうなったのか(笑)。
で、肝心の中身はというと、悪の秘密結社・鷹の爪団がなぜかジャスティス・リーグとタッグを組み、ジョーカーやペンギンらヴィランたちの陰謀に立ち向かう。基本は『鷹の爪団』らしいユル~いフラッシュアニメなのだが、今回は意外にも反権力的な政治および社会風刺が濃厚。『テラスハウス』や『シン・ゴジラ』、『君の名は。』などのパロディも満載だ。
よくぞDCが認めてくださった!
本家『ジャスティス・リーグ』より先に、パロディをやってしまう壮大なプロモーション映画ともいえるが、あのDCコミックス納得させただけに、その悪フザケはかなり本気!ワンダーウーマンは「髪型やメイクが古すぎ」とツッコまれ、『劇場版』おなじみのバジェットゲージ・システムにより、予算ピンチになると、作画どころかキャラまで崩壊。ハーレイ・クインら、ヴィランの登場も「テラスハウス」風というギャグ&パロディの応酬だ。「VS」と言いながら、両者が手を組んで戦う「東映まんがまつり」風タイトルもたまらない。ただ、新規はデラックスファイターのヒーローとは思えぬダメっぷりを予習しておいた方が、より楽しめるはず。
製作費ネタのメタな仕掛けも楽しい
鷹の爪団はX-ファイルの2人とも共演していたが、今回はDCスーパーヒーローとまさかの共演。ジャスティス・リーグ全員にジョーカーとハーレクイン、ペンギンまで登場するDCオールスターズな顔ぶれ。いったいどんな企画書が米DCエンターテインメントに提出されたのか、それを見た米DC首脳陣がどんな顔をしたのか、会議の様子が見たくなる。
さらに今回はパロディだけでなく、メタな仕掛けも搭載。映画製作費の残高が画面上に温度計仕様で表示され、DCヒーロー達がGONZOや白組の華麗な映像で活躍すると製作費が消費され、画面が落書きのような絵に変化、映画続行のためにバットマンの資産が必要になるという設定も楽しい。