ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル (2017):映画短評
ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル (2017)ライター7人の平均評価: 3.6
トレンドに忠実にリメイクされたデジタルキッズの成長譚
ボードゲームが現実化する20年以上前の発想を、VRがトレンドの昨今、RPGゲーム世界にアバターとして入り込む物語に置き換え、時代に適った正しい再創造。おまけに、80年代風青春ドラマというトレンドも付け加え、まずプロデュース力でリメイクを成功に導いている。理想の姿をしたアバターとのギャップが可笑しみをもたらし、とりわけ本人の対極キャラとしての、ドウェイン・ジョンソンやジャック・ブラックの意外性ある起用法がアクセントになっている。3つの生命を持って、危険な荒野を生き抜くデジタルキッズたちの通過儀礼という物語構造も明快だ。生きづらい現実を克服するゲーム世代の成長譚として、長く愛されることだろう。
この「素直に楽しめる感」、最近の映画では貴重です
現実世界からゲームの中に入り込むという、最近のトレンドな設定だが、ゲーム内の姿=アバターが、どちらかと言えば「さえない」キャラなのがツボ。そのおかしさで、ありえない物語に引いてるヒマなんて与えず、豪快に突き進む。エンタメとして、あっけらかん&スッキリなノリは、観客を選ばず楽しませてくれるはず。
そんな感じで基本的に笑いながらテンションが上がっていくけど、油断してると思わぬ「感動」という落とし穴があるから要注意。『パワーレンジャー』や『スパイダーマン:ホームカミング』と同様に、80年代ジョン・ヒューズ的なワケあり高校生たちの絆は、ハリウッドのちょっとしたブームかも。
太鼓の音が聞こえたら逃げるが勝ち!
ロビン・ウィリアムズ主演の前作を楽しんだし、ロック様主演の続編もきっと楽しいはずという予想は当たった。ボードゲームの世界に入った高校生4人組が凶暴な巨大カバに遭遇する最初の難関にはギョッとさせられたが、最後まで快調なテンポで物語が進んでいく。ゲームに役立つ個性を備えたキャラクター設定は予定調和とはいえ、ホラー感がない分安心して見ていられる。ジャングル中のさまざまなセットも豪華だし、特撮も凝っている。コンビを組むのがこれで2度目のロック様とK・ハートの掛け合いは抜群に愉快で、ジャック・ブラックが押され気味。しかしこのゲーム、何度壊しても復活するのが怖い。太鼓の音が聞こえたら逃げるが勝ち!
冒険コメディだが、青春要素が何気に妙味
続編ではあるものの、前作を見ておく必要はない。危機が連続する冒険活劇と、理屈抜きに笑えるコメディの2大要素を楽しむだけでOK。
スリルと笑いを根底で支えるのは、プレーヤーとなる高校生たちのドラマ。居残りを命じられた接点のない高校生たちが、たがいに理解しあう、『ブレックファスト・クラブ』的展開がいい。ゲームキャラ姿であることを除けば、これは自我にしがみつく子どもたちの成長を描いた立派な青春ドラマだ。
好調のD・ジョンソンをはじめゲームキャラ役の俳優は、それぞれにコメディ・センスを発揮。とりわけ、外見は太ったオッサンだが中身は女の子というJ・ブラックの妙演は、何かと笑わせてくれる。
デスゲーム系に飽きたところで、この一本!
『パワーレンジャー』同様、『ブレックファスト・クラブ』オマージュで始まるキャラ設定に、ATARIとファミコンを融合させたようなゲーム機と、導入部分こそ、かなり期待させるが、そこはユルいコメディを得意(?)とするジェイク・カスダン監督作。MMORPGとなった設定の面白さを生かせず、しっかりユルい。ケヴィン・ハートとジャック・ブラックという2大コメディアンが出ながら、彼らの魅力も生かせず、ロック様がキスシーンなどで、いちばん笑いを獲るのも意外だ。とはいえ、『ハンガーゲーム』に始まるデスゲーム系作品に見慣れたティーンには、これぐらいがしっくりくるのも頷けるし、それがメガヒットに繋がったように思える。
実は感動的なドラマが待っている
主演の人気スターたちが扮するのはゲームのアバターなので、彼らが演じるのがいつもとは違うキャラクター。ドウェイン・ジョンソンのアバターを使うのはオタク少年、ジャック・ブラックのアバターを使うのは女子力満点の女の子だったりして、それだけで楽しい。さらに映像は、ゲーム世界に入り込むという設定通りの体感型で、没入感たっぷり。それだけでエンターテインメントとして大満足なところに、さらにプラスがある。キャラがまるで違う男女高校生4人が、アバターを使うことで自分を客観視するようになる。脱出のため力を合わせることを通して、お互いに認め合うことができるようになる。そんな感動的な成長ドラマにもなっている。
理屈抜きで楽しい、極上エンタテインメント
これぞ、娯楽映画の骨頂!最初から最後まで楽しく、たっぷりと笑わせてもらった。笑いの基盤は、ドウェイン・ジョンソン、ケビン・ハートらが演じるキャラクターの中身が、ティーンエイジャーであることから来る。中でも、本当は”自分大好き”な女の子であるジャック・ブラックは、飛び抜けて可笑しい。アドベンチャーものであると同時に、成長物語でもあり、たまに、ほろっとさせられたりも。力を合わせることの大切さとか、人生は一度しかない、といった、ポジティブなメッセージも、さりげなく盛り込まれている。子供にも大人にもおすすめの作品だ。