ミスミソウ (2017):映画短評
ミスミソウ (2017)ライター2人の平均評価: 4
内藤瑛亮監督だから成功した実写化
単なる残酷描写だけでなく、陰惨さや狂気、終盤のハードボイルドな展開。そして、作り手の優しい目線に至るまで、内藤瑛亮監督しか撮れない映画である。そのため、量産される女性アイドルを主演に迎えた、デスゲーム映画とは一線を画す仕上がりだ。清水尋也の使い方や、白(雪景色)と赤(鮮血やコートなど)のコントラストの美しさなども映え、原作と若干異なるラストもあまり気にならない。しっかりトラウマを残してくれるあたりも、実写化として成功例といえるだろう。ただ問題は、ジャンルムービーとしては、ちょっと厳しい114分という上映時間。もっと少女たちのエピソードだけに絞れば、そこは解決できたかもしれない。
閉鎖的な田舎で少年少女の悪意が暴走するトラウマ級青春残酷物語
過疎化の進む寂れた日本の田舎。閉鎖的な地域社会で鬱積した悪意が暴走し、歯止めが利かなくなった子供たちの陰湿なイジメ。同級生に両親を生きたまま焼き殺された少女が、「目には目を」とばかりに壮絶な復讐を遂げていく。
雪深い白銀の世界が真っ赤な血に染まっていく様は、さながら『修羅雪姫』のごとし。手加減を知らない少年少女の殺し合いはあまりにも凄惨で、思わず目を覆いたくなるようなスプラッターが繰り広げられる。てか、ちょっとやり過ぎ(笑)。究極の青春残酷物語といったところか。とりあえず、ストーリーの救いのなさも含めてトラウマ級の仕上がりだ。