危険な関係 (1959):映画短評
危険な関係 (1959)いま観ると特濃! 完全なるロジェ・ヴァディム節
もごもごとJ・モローに話しかけるボリス・ヴィアン、圧巻の終盤で炸裂するアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズなど「カルチャー」的に本作に痺れたのはトランティニャン扮する学生くらいの年頃だったか。しかし改めて観ると、G・フィリップ扮する漁色家のタフネスに率直に驚いてしまう。気合い入りすぎのチャラさ!
R・ヴァディム。今のご時勢なら最も性的に炎上しそうなレジェンド映画人に挙げられるが(笑)、前口上に自身が登場するこの映画は彼そのものな感じ。リアルタイム公開時、埴谷雄高がラクロの原作の愛人関係を夫婦に設定し直した事に不満を示したが(『闇のなかの思想』)、むしろそこが長い人気のポイントだろう。
この短評にはネタバレを含んでいます