ニンジャバットマン (2018):映画短評
ニンジャバットマン (2018)ライター3人の平均評価: 4.3
ジャポネスクなキャラデザインとハイテンションな演出が相性抜群
日本の戦国時代にタイムスリップしたバットマンが忍者軍団とタッグを組み、戦国大名となって天下を混乱に陥れるヴィランたち相手に戦いを繰り広げる。奇想天外といえば奇想天外だが、しかし意外にもDCコミックの世界観と時代劇アクションが見事にマッチしており、実にクレイジーでオフビートでパンクなアニメーションに仕上がっているのだ。
『アフロサムライ』の岡崎能士によるジャポネスクなキャラデザインと、水﨑淳平監督のハイテンションな演出も相性抜群。しまいには『ヤッターマン』ばりの悪ノリで巨大ロボット大戦へとなだれ込むもんだから、そりゃもう笑いとウハウハが止まりません。今のところDC関連作で一番好きかも。
よくぞDCが許した特撮アニメ発のクレイジーなアメコミ戦国絵巻
ゴッサムシティの連中が戦国時代にスリップし、武将として戦う…設定だけで十分にクレイジーだが、中島かずきのイタズラはやりたい放題に炸裂し、神風動画のOP映像的密度のビジュアルで全編を突っ走る。背景美術は浮世絵風、活劇はC・ノーラン版より洗練され、ジョーカーは66年TV版以上に陽気すぎて不気味。バットマンや城の“変容”は日本ならではの意匠だ。もしもデップ―が目にしたらこう言うに違いない、「お前ら、昭和の特撮・アニメ出身か?」と。よくぞワーナーのロープロは本国へ企画を上げ、DCコミックスは自由な制作を許したものだ。本作によって、ハリウッド進出に変化が生ずるか、門戸が閉ざされるか、どちらかだろう。
爆走ぶりにひれ伏さずにはいられない
歓喜!痛快!爆笑! DCが誇るスーパーヒーローが戦国時代の日本にタイムスリップ、という正統派SFに、日本の伝統芸能からポップカルチャー、日本産アニメの得意技までをこれでもかとばかり盛り込むとこうなる。そのとどまるところを知らぬ怒涛の勢いにひれ伏しながらも、思わず爆笑してしまうこの感じは「マッドマックス 怒りのデス・ロード」でギターから炎が噴き出すのを見た瞬間の、あの感じ。しかもバットマンのクールさ、ジョーカーとハーレクインのヤバさは、ハリウッド製実写映画に負けてない。日本の戦国武将や有名作品など、日本人の方がピンときやすい元ネタが大量で、海外のオタクよりちょっと得した気分も味わえる。