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アメリカン・アサシン (2017):映画短評

アメリカン・アサシン (2017)

2018年6月29日公開 112分

アメリカン・アサシン
(C) 2018 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

中山 治美

こういうアクションが見たかった!

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

映画のアクションが現実離れしていく中、中身の人間による死闘に、こちらのアドレナリンも大量分泌。
ディラン・オブライエンが仕込まれたのは、素手で殺傷可能な実践型。
『セッション』のJ・K・シモンズよろしく、鬼教官化したM・キートンによる地獄トレーニングシーンもあり、
『メイズ・ランナー』シリーズよりグンと色気を増したディランを美しき野獣へと変貌させていく。
その彼が演じるCIA工作員ミッチの根底にあるのは、無差別殺戮を繰り返すテロ組織への憎悪と、彼らを生み出した理不尽な社会への疑念。
チーム行動必須の中でミッチは暴走していくが、こんなアウトローが腐った社会を変えていくのかも。
シリーズ化を期待。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

荒唐無稽を極力排したリアリズム志向のスパイ・アクション

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 テロリストに恋人を殺され復讐の鬼と化した若者が、CIAのスパイとなって巨大なテロ計画に立ち向かう。個人的な復讐心ゆえに任務を逸脱しがちな未熟者の主人公の前に立ちはだかるのが、同じく個人的な復讐心によって大量殺戮を図るテロリスト…というのがミソ。憎しみは憎しみを、暴力は暴力を生むしかないというわけだ。
 ストーリーもテーマも既視感を覚えることは否めないが、銃撃戦やカーアクションなどのスタントは充実しているし、ディラン・オブライエンとマイケル・キートンの主演コンビも魅力的。荒唐無稽を極力排したリアリズム志向の演出も、なるほど、ドラマ『HOMELAND』の監督ならではだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

私情を捨てられない、でもそこがイイ、スパイ映画

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 スパイは非情な世界とされているが、本作の面白いところは主人公の行動原理が私怨でしかない点。スパイ映画であり、復讐劇でもある。

 『メイズ・ランナー』では線の細い印象があったD・オブライエンは、執念のギラつきを匂わせつつ主人公を熱演。対する敵も私怨全開で攻めてくるし、主人公にしつこく”私情は捨てろ!”と教えてきた上官も、敵に捕まった際に感情があらわに。そんなテンションの高まりがスリルを高める。

 復讐心を抱くスパイという点では『007/慰めの報酬』を思わせるが、ハードボイルドな同作に対して、こちらは感情の爆発に遠慮がない。”アメリカの暗殺者”は、かくもエモーショナルなのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

サービス精神たっぷりの海外ドラマ感

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『メイズ・ランナー』から色男度が増したディラン・オブライエンが巻き込まれる、ツカミのイビザ虐殺から無謀すぎる復讐劇、過酷なCIA工作員プログラムと、前半パートに畳みかける見せ場の連続。だが、いざ本筋に入ると、アメリカ海軍に恨みを持つ強敵(『バトルシップ』のテイラー・キッチュ!)相手に、師弟ドラマや爆破アクションなど、やることはやりながら、一気に既視感が強くなる。しかも、「HOME LAND」などを手掛けるマイケル・クエスタ監督の散漫な演出のせいか、サービス精神たっぷりの海外ドラマを観ている感は拭いきれない。とはいえ、これを112分でまとめた職人仕事は評価したい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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