モダンライフ・イズ・ラビッシュ ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~ (2017):映画短評
モダンライフ・イズ・ラビッシュ ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~ (2017)ライター3人の平均評価: 3
90年代以降のインディーロックを知る人、必見!
ブラーのアルバムタイトルを冠したタイトルだけでときめいたなら、本作を楽しむ権利を得たも同然。マニアックなロックネタ満載で、笑って楽しめる。
ストーリーの基本はラブストーリーで、それに沿って音楽ネタがまぶされるが、1990年代以降のインディーロックファンにはそれが面白い。バンド名を決める際の口論とか、“「ヘッド」という名が付くバンドはどれも素晴らしい”とか、セリフがいちいちツボにハマる。
正直なところ、ラブストーリーとしてはツメが甘く、都合の良すぎるヒロイン像が気になったりもするが、それを補うだけのネタが、ここには詰まっている。言うまでもなく、ブラーのネタもあり。
ブリットポップ愛に溢れながら、ストーリー甘すぎ
レコードにこだわるアナログこじらせミュージシャンと、彼を支えるために夢を諦め、キャリアウーマンとなったデジタルな彼女。10年前、Blurのベスト盤をめぐって、レコ屋で偶然出会った男と女の、その後の変化を描いている点は興味深い。しかも、Blurブレイク前夜といえる2ndアルバムから取ったセンスを感じるタイトルではある。とはいえ、主人公・リアム(!)があまりにステレオタイプなダメ男っぷりで、苛立つほどベタベタな展開が続くうえ、この副題の意味合いも薄い。そんななか、『バックビート』のジョン・レノン役で注目されたイアン・ハート演じる“伝説の男”の存在がかなり救いになっている。
ポップ音楽ファンならきっと"あるある"大会
タイトルがブラーの名曲と同じ、主人公がバンド青年、舞台がロンドン。このどれかが気になったなら必見。現代の話だけど主人公がブリットポップ好きという設定で、代表曲が続々流れる。そして「レコードショップでウンチクを語る」「ライブハウスでしゃべっても音が大きくて聞こえない」など、ポップ音楽ファンの"あるある"がてんこ盛り。ロンドン好きなら、観光名所ではない地元っ子が歩くあの街の風景が楽しめる。また、ストーリーはダメ男子としっかり女子の恋愛モノなので、そのジャンルのファンにもオススメ。
そして何よりエンディングの地味なところに、ハリウッド映画とはちょっと違う英国映画ならではの味わいが堪能できる。