津軽のカマリ (2018):映画短評
津軽のカマリ (2018)津軽三味線の神様・高橋竹山、その不屈の精神に迫る
没後20年を迎えた津軽三味線の神様・高橋竹山。幼くして視力を失い、生きるために三味線を修得し、人々に蔑まれながらも門付け芸人として全国を旅した若き日。生前の記録映像やライブ映像、弟子たちの証言などを交えつつ、その過酷な人生を振り返ることで不屈の精神に迫るドキュメンタリーだ。さらに、竹山の故郷・北東北の厳しい自然とそこに暮らす人々の苦難の歴史を紐解き、津軽三味線の神髄を探る。旅先で石を投げられ餓死寸前に陥った竹山が朝鮮人に助けられ、後にその時の感謝の気持ちを込めて「アリラン」を演奏したというエピソードが印象的。この国の弱者に向けられる冷たい視線は、今も昔もあまり変わっていないように思う。
この短評にはネタバレを含んでいます