東京喰種 トーキョーグール【S】 (2019):映画短評
東京喰種 トーキョーグール【S】 (2019)ライター2人の平均評価: 3
松田翔太が魅せる、ダダ洩れする変態性
“美食家”月山を演じる松田翔太が醸し出すスタイリッシュかつゴージャス感もあり、アニメ版の宮野真守と違った抑えた芝居のアプローチで、ダダ洩れする変態性で魅せてくれる続編。ヒロインのトーカだけでなく、監督なども変わったことで、どこか作り手の肩の力も抜けた感もあり、前作に比べ、かなり観やすい仕上がりに。カネキ&トーカ組の訓練、バトルシーンなどのアクションは香港映画っぽさを感じさせ、欲張らず97分でまとめたことも好感度高し。トーカと友人・依子の“弁当”の件を、またも描いたことなど、気になるところもあるが、この“腹七分目”のクオリティが持続されるなら、3作目も期待したところだ。
バトル・アクションを"構図"の美学で見せる
バトル・アクションを"構図"の美しさで見せる。高さと奥行きのある大きな空間に、複数の登場人物を配置して、彼らの激闘の中のある瞬間を切り取り、一瞬だけ時間の速度を緩めて1枚の絵画のように見せ、その時そこに現れる各要素の姿と配置、背景、全体図の美しさを見せつける。そしてしばしの間、観客にその美しさに陶酔する時間を与える。このアクション演出法で魅了する。
今回は、美食家の喰種がある喰種を自分の望む状態で喰べたいと熱望する話。喰種が人間を喰うのは生存のためだが、喰種を喰うのは本能とは無関係の個人的嗜好で、ゆえに究極の悦楽になる。その愉悦をシリアスに実写映像化するという難関に挑戦している。